47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 23:07:24.25 ID:y8XKonFyo
「きゃーっ!」
新たな悲鳴が、ごく近くであがった。
明らかに室内だ。
その声をあげた女性に視線を向けるより前に、蘭子は見た。
見てしまった。
その人影は、なんだか光が当たっていないかのように見えた。
それは、その男の体のほとんどが、赤茶けた液体でどっぷりと濡れていたため。
片手に掲げるのは、ぎらぎらと輝く刀。
もう片方にぶら下げるのは、なにかの塊。
それが先ほど出て行ったADの頭部であると認識することを、蘭子の脳は拒絶している。
あまりに非現実的な光景に、人々は硬直したままだ。
それはそうだろう。
血刀をひっさげた人物が生首を下げてスタジオの入り口に仁王立ちなどという状況、ドラマの中でもないのにあり得るはずがない。
ないはずなのだが、それは紛れもなく現実であった。
あるいは、先ほど悲鳴をあげ、いまはへなへなと床に座り込んでしまったスタイリストの女性が、一番よく現状を認識していたのかもしれない。
だが、彼女は凍り付くスタジオの中で一人動きを見せていたために、男の注意を惹いてしまった。
ひゅっと何かが飛ぶ。スタイリストは本能的にそれを受け取っていた。
抱え込むようにしたそれから、どろりと赤黒い血が流れ落ちる。
自らの腕の中にADの首を抱き留めている女の口がOの字に開く。
それは、きっと新たな絶叫の前準備だったろう。
だが、彼女がその口から声を発することはできなかった。
自らがほうった首を追うように踏み込んだ男が、さっと刀を振る。
それだけで、驚愕の表情を保ったまま、女の首が飛んだ。
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