48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 23:08:17.63 ID:y8XKonFyo
どす、とすん、と二つ音がした。
一つは首を抱えたままの体が倒れる音。
もう一つは女の首が床に落ちた音である。そのどちらからも大量の血潮がほとばしり、床を汚していく。
一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図が成立した。
人々は大声をあげてあわてふためき逃げ惑い、男はそれを追いかけて、次々と切り伏せていく。
背を裂かれ、転げ回る青年がいる。
足を切られ、這いずって逃げようとするところを心臓を一突きされて絶命する女がいる。
抵抗しようとして腕を落とされ、顔をめちゃくちゃに切り裂かれてショック状態に陥る男がいる。
血がはね、苦鳴が響き、首が飛ぶ。
三人は、入り口からは離れたところにいる。
そのためにいまは被害を受けてはいない。だが、いずれ自分もああなるに違いない。
奇妙にふわふわとした意識で、蘭子はそんなことを考える。
むせかえるような血臭、見知った人々のうめき声と泣き声、さっきまで助けを求めていた人間が動きを止める様子――全てが遠い。
ただ、おだやかな絶望だけが、じわじわと彼女の心を浸食している。
「あー、よりによって殺陣の先生だよ、響」
「あの人、剣道六段だよね?」
「趣味で剣術もやってるって言ってたの。あと居合いも」
「へぇ……」
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