過去ログ - P「始原のiDOL」
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 23:12:48.42 ID:y8XKonFyo
 ぽすん、と蘭子の体が床に落ちる。
 完全に腰が抜けてしまっていた。

 意識のほうも、だいぶ飛んでしまっている。

 いつのまにか獅子と狼の姿が消え、いつも通りの美希と響が彼女の前で裸身をさらしている光景を目にしても、なにも言葉が出てこない。

 その向こうで砕けた刀を手にした男が倒れ伏しているのも、ぼんやりとしか認識できていない。

 そんな蘭子に構うこともなく、二人はスタジオのセットの中から汚れていない適当な布を引っ張り出して素肌にひっかけると、どこかへ電話をかける。

 響と美希の両方が携帯を手にしていたものの、つながったのは響のほうであった。

「結構被害が出てて……。うん。頼めるか? え? うん、わかった。ありがとな、雪歩」

 電話を切って、響は美希に会話の内容を伝える。

「後始末は雪歩のとこがやってくれるって。ただ、時間がかかるから、とりあえず近くにいたやよいに連絡して、こっちに来てもらう手はずだってさ」
「ミキたち、幻術系は苦手だから助かるね」

 それから、二人はしゃがみこみ、床に崩れ落ちている蘭子の目線まで顔を下げた。

「蘭子」
「ひゃ、ひゃいっ!」

 美希に呼ばれ、彼女は裏返った声を放つ。
 それで少しは力が戻ったか、彼女は背筋を伸ばした。それにあわせ、美希と響の顔があがる。

 蘭子は二人の顔に交互に視線をやった後、はっと気づいたような表情になった。

「あ、あ、あ、ありがとうございます!」

 ばっと頭を下げる蘭子。


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