58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 23:18:08.78 ID:y8XKonFyo
そのことを完全に理解したとき、蘭子は息を呑み、その場でかたまってしまった。
「そう。ならいいけど……。それで、どうしようかしら。あずささんに任せる?」
「うーん」
「大丈夫よ、あの人なら、デジタルカメラでも夢を見させられるから」
「いえ、そこはわかってるんですけど、でも……」
春香が困ったような悲しいような複雑な顔つきで首を振る。
腰から下の非現実的な有様と、その表情の現実感の乖離に、蘭子の頭がくらくらした。
「まあ、アイドルとしては納得しがたい、か……」
「はい」
何度も何度も見返して、蘭子は心の内で呟く。
人魚だ……と。
「小鳥さんを連れてくるか、血を採ってくるかしかないわよね。いま、事務所に誰がいたっけ……」
律子は春香から離れ、ぎゅっと眉根を寄せる。
春香は申し訳なさそうに首をすくめつつ、彼女に声をかけた。
「でも、律子さん。その前に」
「まあ、そうね。その前に」
二人がそろって言うのに、こてんと首を倒していると、まっすぐこちらを見つめられ、心臓が飛び上がる蘭子。
「出てらっしゃい、そこで覗いてる子ネズミさん」
こうまで言われては、出て行くしかない。
蘭子はゆっくりと扉を開き、楽屋の中に入った。
「蘭子ちゃん?」
「あちゃー……」
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