過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

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423:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/07(木) 07:28:58.26 ID:NMRpKHbs0
朝の７時だというのに、２人の狭い部屋は笑い声で満たされている。
これは、２人が施設で同室になった頃から変わらない。

正純と匡充は、親がいて子供がいる、という一般家庭にはいない。
２人が日夜生活しているのは、やや古ぼけた施設――慈愛苑というたいそうな名前だ――で、ここには親がいない、もしくは親と一緒に生活をする事が出来ない子供が十数名生活している。
もちろん２人もそれぞれの事情でここに生活している。
匡充は正純が慈愛苑に入った時からのルームメイトであり、今はクラスメイトでもある。

いわゆる孤児院は、国立のものと私設のものがあるが、慈愛苑は後者に当たる。
カソリック系の教会に隣接して建てられたが、正純たちにはそれほどカソリック教に対する信仰心はない。
ただ、お守り代わりにロザリオを持っている程度だ。
教本の文句など全くと言っていいほど知らないし、慈愛苑に住む先生――子供たちの世話をしているシスターたちの事だが、子供たちは先生と呼んでいる――も信仰を強要しない。
ちなみに国立の孤児院は、軍人養成所と化しているらしい。
正純には詳しい事はわからないが、ある先生がそう言っていたのを聞いた覚えがある。

２人は素早く制服に身を包み、勢いよくドアを開けて正面にある洗面所で顔を洗い、階段を駆け下りた。
廊下を曲がったところで、何かにぶつかった。

「…もう、朝からはしゃがないでよ、危ないなぁ」

正純が見下ろし、匡充が見上げた目線の先には、ロングヘアを今は後ろで１つに束ねた、目力の強い長身の少女――加古美里（女子７番）が呆れ顔で立っていた。

「美里、グッモーニン！」

「グッモーニン、じゃないよ、ご飯係じゃん、早く行くっ！」

人懐こい笑顔で挨拶をする匡充を美里は一蹴し、食堂をビシッと指差した。
匡充はちぇっ、と口を尖らせながら、それでも急いで食堂に向かった。

「美里は…朝練？」

正純は食堂に入っていった匡充を見送り、美里に目線を向けた。
美里は頷き、髪を束ねていたゴムを外した。
さらさらと綺麗なロングヘアが揺れ、正純は思わず見とれた。

「そうよ、ご飯は先に食べたからもう出るの。
　男バレは今日はないんだっけ？」

「あぁ、今日は休み、顧問の気まぐれ」

「羨ましいわ、女バレだってたまには休ませてほしいのに」

美里は愚痴をこぼすと、慌しく２階の自室に向かって行った。
美里は慈愛苑で生活している同年代の中ではかなりの古株で、昔から気の強さは変わらない。
しかし、そのさっぱりとした性格が正純にとってはとっつきやすく、頼りがいがあるので後輩からの人気が高い。
自慢の幼馴染だ。

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