過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

↓ 1- 覧 板 20

811:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/08(金) 10:21:07.82 ID:eXxZahjZ0
１０分程動き回り、木々が茂る中に畳１枚分程度の芝生を見つけ、夕姫と史季は腰を下ろした。
体力には自信があったが、緊張状態の影響か、激しく息切れしていた。
仰向けに倒れてへばっている史季ほどではないけれども。

「史季ー、平気ー？」

「脇腹…痛いー」

「そりゃあ、めちゃくちゃに走ったからね」

夕姫はブレザーを脱ぐと、デイパックを開けた。
先程の銃と、奥に入っていた箱３つを取り出した。
２つには実弾が詰め込まれていて、１つにはマガジンが入っていた。
説明書によると、この銃の名前はワルサーＰＰＫというらしい。
取扱説明書を見ながらマガジンを装着し、操作法を確認した。

さらにファイルを引っ張り出し、地図を確認した。
がむしゃらに走ってきたので、ここがどこなのか確認しなければならない。

「水…水の音がするねぇ…」

史季がごろごろと転がり、左側を見て呟いた。

「水……あ、川か！」

夕姫は立ち上がり、改めて周りを見回した。
史季が向いた方向に、確かに川があった。
地図によればこの会場は１本の川が途中から別れて走っているので場所の断定はできないが、篠宮未琴（特別参加者）が出発してから２０分後に立ち入り禁止となるＣ＝０６エリアからは抜け出したらしい。
まあ、１０分もうろついていれば、抜け出ているのは当然だが。
地図は思っていた以上に詳しく、等高線などまで描かれているので、近くを散策すれば場所を特定することも可能だろう。

更に荷物を漁り、水の入ったペットボトルを取り出した。
５００ｍｌ入りのペットボトルが４本――どのくらいでプログラムが終わるのか、いつまで生き残れるのかにもよるが、戦場の真っ只中ではこの量は少ない。

…つまり、誰かを襲って奪え…ってことか。
命だけじゃない…武器も、水も食糧も、全部奪い合うってこと…
ハハッ、何だそれ、なんで、こんなことに――

そこまで思いを巡らせ、夕姫は顔を上げた。
今目の前で寝転がっている史季は、“どう”なのだろう。
真澄から逃れることに必死で、たまたま鉢合わせたので連れてきたが、この人畜無害そうに見える史季だって、生き残りの権利を奪い合う敵なのだ。

「ねぇ、史季」

名前を呼ぶと、史季はごろんと転がり、夕姫に顔を向けていつもの眠たげな目で見上げた。
寝癖だらけの細くさらさらとした黒髪に、砂が付いていた。
あれは、取るのが大変そうだ。

「んー？」

「史季は、どうなわけ？
　これ…プログラムでしょ…殺し合い…でしょ？」

史季は息も整ってきたようで、詰襟の袖の先からはみ出たフード付きトレーナーの袖を口許にやり、欠伸をした。
うーん、と唸り声を上げてから、ゆっくりと起き上がった。

「姫サマは…？」

「あたし…あたしは……」

あたしは、どうしたい？

言葉に詰まった。
どうするべきなのだろうか。
どんな時でも自分らしくありたい、それは決めている。
だけど、具体的な行動方針は何もない。

まだ死にたくない。
まだ１４歳、人生はこれからだ。
じゃあ、真澄のように殺し合いのルールに乗るのか？

<<前のレス[*]｜次のレス[#]>>

1002Res/665.75 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ