過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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883:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/05(月) 07:57:38.98 ID:868/ISGe0
「よし、マサ、あたしと迅はアンタと智子を護るから!
 だからアンタは、智子をしっかりしっかり、しーっかり護ること!!
 男らしく、姫を護る王子になんなきゃね!!」

何故か早稀のテンションが急に上がり、雅哉は顔をしかめた。
智子の方を見ると目が合ったのだが、姫と王子という早稀の喩えに反応したのか智子は頬を僅かにピンクに染めてふいっと顔を逸らした。
ほーんと、ウブだね、トモは。
俺?別に、ただの喩えだし。

迅と早稀は恋人同士で仲が良いのは当然として、クラス内では友人がおらず浮いた存在だった雅哉と智子も巻き込んで、チームとしては良い雰囲気なのかもしれない。
智子も発言は少ないが落ち着いてきているようだったし、雅哉も皆が自分の身体を気遣ってくれるという慣れないこの状況がむず痒いけれども心地良かった。
だからこそ、油断をしていたのだ。
というよりも何よりも、早稀の声が大きかったと思うのだけれど。

突如、銃声が響いたのだ。

智子と早稀が悲鳴を上げ、その場に蹲った。
雅哉と迅は辺りを見回し、迅の後ろの木の幹に、先程までなかった窪みを確認した。
この状況が示していることはただ1つ、何者かに狙われているという事実。

「ちっ…万一がもう来たのかよっ!!
 さっき言った通りだ、奈良橋、芥川、行けッ!!」

迅が顔をしかめて舌打ちをし、支給武器である全長10cm程度の小型自動拳銃、NAA ガーディアンを大きな右手に握り締めて構えた。
刹那、再び銃声が響き、雅哉の眼前にいて身体を起こしていた早稀が、何かに弾かれたように後ろに仰け反り、倒れた。

「早稀ちゃん!?」

「いやああ!! 水田さん…ッ!!」

「早稀っ!?」

雅哉と智子の声に恋人に起きた異常事態を知った迅が駆け寄り、その身体を抱き寄せて起こした。
鉛弾が早稀の左肩を貫通していたようで、左肩を抑えている早稀の小さくややぷくぷくとした手は真っ赤に染まっていた。

「こ…の…ッ!!」

苦痛と憎悪に顔を歪め、早稀は唸った。
怒りに燃えた瞳に、いつも飄々としている雅哉ですら、思わず怯んだ。
迅に目を向けると、迅の早稀を見つめるその表情が、少し悲しげに見えた。

「日比野…」

「…大丈夫、早稀は大丈夫だから。
 だから、早く行け、芥川。
 絶対全員生きて合流するぞ、だから、奈良橋を頼む。
 …ッ!! 早稀ッ!!」

迅の腕の中にいた早稀が身を捩って腕を振り払い、襲撃者のいるであろう方向へと飛び掛かった。
迅は舌打ちをし、「行け!!」ともう一度叫ぶと、早稀を追っていった。


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