過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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918:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/05(月) 11:01:53.31 ID:868/ISGe0
 鳴神空也(男子二十六番)と山田花子(女子二十五番)のことだ。二人は船の中で口数が少なく、一見した限りでは辻斬り狐ほどの異常性は感じられないが、この糞ゲームに志願する理由なんて、確かに殺人への興味以外に考えられない。
「僕ノ場合ハ、テレビゲームガ好キデサ。特ニ、出テクル敵ヲ銃トカ[ピザ]ッ殺スヤツ。バキューン、バキューン、ッテネ。デモ、ソレニ飽キテキタノカ、近頃ハゲームナンカデハ興奮デキナクナッテキテネ」
「現実でやってみたくなったわけか……」
「ソウイウコト!」
「その仮面は?」
「コレ雰囲気出テイイデショ。イカニモ殺人鬼ッテ感ジデ。顔モ声モ謎ニシタ方ガ、皆ノ恐怖感ヲ高メルト思ッテ、ワザワザ用意シタンダヨ」
 などと楽しそうに語りながら、宗一の頭を踏みつけている足に、より体重をかけてくる。
 コイツ、マジで狂ってやがる。
 宗一は怒りと悔しさのあまり、顔を歪ませる。
「アッ、ソノ表情生意気! カチーン」
 唐突に振り下ろされるナイフ。腕を貫通して脇腹にまで到達し、激痛から悲鳴が漏れる。元からそういう色だったのかと見間違うほど、制服全体がもはや血で真っ赤だ。人間は血液の三分の一を失うと死ぬというが、傷を放っておけば、それに近い量が余裕で流れ出してしまいそうだ。
 嫌だ。こんなところで死にたくない。
 絶望に立ち向かうべく、今度は手足に力を集中させようとするが、既に血を流し過ぎているのか、どうにも身体が言うことを聞いてくれない。僅かに四肢が浮き上がるだけで、それ以上はどうにもならない。
「ヘケケケケケッ」
 辻斬り狐のあの独特な笑い声が聞こえる。まず一人目の獲物を順調に仕留め、とても昂揚している様子だ。
 もちろんこれで満足したわけではないだろう彼は、宗一の全てを終わらせた後、また新たな獲物を求めて動き出すだろう。そして、第二、第三と殺人を繰り返すに違いない。
 他人のことを考えている余裕なんて皆無であったが、自分を陥れた相手に一矢報いたいという思いからか、気がつくと、満足に力が入らない手で、辻斬り狐の足首を掴んでいた。
「……コレ、僕ヲ捕マエタツモリカイ?」
 血濡れの手で白い靴下を汚されたからか、ボイスチェンジャー越しの声は僅かに不快感が入り混じったようだった。
「ボケガッ! コノ程度ノ握力デ、僕ヲ止メラレルハズガナイダロ!」
 辻斬り狐はいとも簡単に拘束を解き、その足を振り上げて一気に下ろした。
 短い、しかし断末魔のような悲鳴が上がる。
 バキリと音をたてて砕かれた宗一の指は、あらぬ方向へと曲がっていた。かなり複雑に粉砕したようで、関節がどこにあったのかも分からないような形になってしまっている。本人的には身体の傷よりもこちらのほうが、目も当てられぬ光景に思えた。


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