921:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/05(月) 11:07:41.80 ID:868/ISGe0
「…今、何か音…したか…?」
滝井良悟(男子10番)から直線距離にして50m。
間には本棚が並んでいるため視界は開けていないので存在には気付いていないが、常陸音哉(男子14番)は音を聞いた。
微かに、聞こえた気がした。
「さぁ…あたしは聞こえなかったけど…?」
高井愛美(女子13番)は首を傾げた。
「疲れてるんじゃないの?
かれこれこんな状況で1日起きてるわけだし…」
愛美は小さく欠伸をし、横で椅子を4つ並べて作った簡易ベッド(寝心地は最悪だけど、床よりは感触が少しだけ柔らかい)に寝転がっている伊賀紗和子(女子3番)の頭を、優しく撫でた。
紗和子は規則正しい寝息を立てて眠っている。
放送があった時には、呼ばれた人数の多さと、呼ばれた全員が仲が良かったはずだということにショックを受けて泣きじゃくっていたが、この緊張状態では、紗和子の小さな身体は疲れきっていたようで、5分も経たないうちに眠ってしまった。
鳳紫乃(女子6番)との争いを避けて図書館に入った後、3人は2階の奥の方で休息を取ることになった。
1人が眠り、2人が見張る。
そう決めて、放送の前までは愛美が眠っていた。
唯一の男である音哉は、自分が最後まで起きて見張っておくべきだと思ったので、最後まで起きていることを買って出た。
愛美が寝ている間、紗和子がこくりこくりと舟を漕いでいたのが微笑ましかった。
音哉は政府からありがたく頂戴した煙草を1本取り出し、口に咥えた。
口元を落ち着けるためなので、火は点けていない。
先ほどの放送で、40人いたクラスは残り半分となった。
生き残ることができる可能性は10%――少しずつパーセンテージが上がってきているのだと思うと、複雑な心境になる。
パーセンテージが上がるということは、それだけクラスメイトが死んでいるということなのだから。
そして、いつ自分がその数字を上げることに貢献するのか――つまり、退場しなければならなくなるのか、それを考えると、かなり、怖い。
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