945:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 06:19:54.26 ID:D/J1TKXp0
同時刻、新藤鷹臣(男子8番)は支給されたリボルバー式拳銃(S&W M686)を右手に、とにかく学校から離れていた。
横には、先程の銃声に怯えきった幼馴染の雪倉早苗(女子16番)がいる。
早苗の手にはうちわが握られている。
こんな物が武器って言えるのか?
「…早苗、少し休むか?」
「え? あ、ううん、大丈夫。
鷹臣こそ大丈夫?
あたしの荷物まで持ってもらっちゃって…」
「平気だって。
これでも元運動部員だぜ?」
そう、オレはまだ大丈夫なんだ…
問題なのは早苗だ…
早苗はこのプログラムには最も相応しくない非暴力主義者だ。
とても大人しくて、か弱い女の子だ、ついでに関係ないが元演劇部員だ。
何でかは知らないが、昔から早苗は虐められていた。
その度に鷹臣は早苗を守った。
今では虐めもなくなったが、早苗を虐めた張本人は同じクラスだ。
不良グループの楠本章宏(男子7番)と平馬美和子(女子11番)。
早苗は今でもあの2人に怯えている。
あの2人はきっと早苗に会ったら躊躇せずに殺しにかかるだろう。
そうなる前に、自分ががあの2人をどうにかしないといけない。
しかし、早苗は鷹臣が暴力を振るおうとすると怒る。
「鷹臣、暴力なんてだめ!!」、と泣いて怒る。
きっと、今のこの状況でも、早苗は同じ事を言うだろう。
「…早苗、もし誰かが襲ってきたら…どうする?」
早苗はにっこり微笑む。
「説得かな?
それはきっと怖いから襲ってくるのよ。
だから、落ち着かせたら大丈夫…だと思うの」
ほら、やっぱり。
しかし、本気でプログラムに乗る人間だっているはずだ。
だから毎回毎回プログラムの優勝者というものが出てくるんだと思う。
乗った人間には何を言っても無駄だろう。
おそらく朝倉伸行(男子1番)を殺した人物も乗ったか、狂ったかだ。
伸行も抵抗したに違いない、しかし死んだ。
俺はただ早苗を守りたいだけなんだ…
なので、鷹臣は1つの決心をした。
誰か絶対的な信用ができる友達――例えば委員長の宇津晴明(男子2番)や、早苗の友達――例えば結木紗奈(女子15番)らがいるペアを見つけたら、早苗を彼らに預けよう。
そうすれば、早苗もきっと安全だし、鷹臣は自分のしたいことができる。
鷹臣は楠本たちを許さない。
早苗に危害を加えようとするヤツも許さない。
「鷹臣、どうしたの?
そんな険しい顔しちゃって…」
早苗が鷹臣の顔を覗き込んだ。
鷹臣は早苗の頭を撫でた。小さい頃から、早苗が心配そうな顔をした時にはやっていたことだ。
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