過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 16:01:33.82 ID:D/J1TKXp0
大東亜総合大学の後ろには、山がどっしりと構えている。
決して大きなものではないが(せいぜい標高300mほどだろう)、正面から見たキャンパスと、その奥の緑の覆い茂る山とのセットは、見る者を多少なりと感動させる。
裏山そのものはプログラムのエリア外だが、その入り口はエリア内だ。
地図の左上、A=01エリアからA=03エリアまでがそれにあたる。
その中のA=03エリアに須藤大和(男子7番)と玖珂喬子(女子9番)はいた。
最初はもう少し西、つまりA=02エリアにいたが、近くに馬小屋――馬術部のものだろう、大東亜総合大学の馬術部はそれなりに全国に名を知られている――があり、今はもう馬はいないが、小屋特有の臭いはまだ消えきっておらず、鼻の曲がりそうな小屋の側に潜伏することは不可能だったので、引き返して今の場所に落ち着いた。
こちらは馬術部員用の宿舎だろうか、古びたコンクリート製の平屋が建っており、今はその中の一室にいる。
ささくれ立った畳が敷かれており、埃も被っていたので、逃げる時のことも考えて土足で入った。

喬子は日に焼けた壁に背中を預け、畳をじっと見つめている。
命懸けのこの状況だ、憔悴しきっていてもおかしくない。

そんな喬子から目を離し、大和は外を見つめた。
ムカつくくらいの晴天で、ただの日常であれば絶好のサボり日和だっただろう。

「…見ろよ、喬子。
 すっげぇ良い天気だぜ?」

普通の会話をすれば少しは元気になるだろうか。
そう思い、当り障りのない話題を出した。
喬子がゆっくりと顔を上げた。
そして、にっこりと微笑む。

「…うん、絶好のピクニック日和ね」

「あ、さすが、喬子らしいな。
 俺はサボって屋上でごろんって寝転がりたいって思った」

「もう、サボることばっか考えちゃ駄目だよ?」

「いーって。
 センコーの説明よりも、喬子の説明の方がわかりやすい!
 ……あ――」

大和は慌てて口を塞いだ。
学校の話をしてしまったじゃないか。
最早届かない、日常生活の話を。


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