過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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975:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 16:13:17.11 ID:D/J1TKXp0
紗和子はとても大人しい少女だ。
自分から人に声を掛けるということは苦手とするところで、生真面目な性格も手伝ってか、中々友達ができなかった。

そんな小学校時代、唯一と言ってもいい友達がいた。
それが、玖珂喬子だった。

当時の喬子は今になってみると想像できないほどに暗い少女で、いつも思いつめたような表情を浮かべていた。
友達と言っても一緒に遊ぶようなことはなかったが、勉強でわからないことがあったら聞き合ったり、一緒に図書館に自習しに行く仲だった。

中学校に上がった頃、喬子の成績が下がった。
成績順に分けられていた明進塾のクラスが、1つ落ちた。
「もう、限界なの…」、今にも泣き出しそうな表情で呟いた喬子の姿は、傍から見ても本当に痛々しいものだったと思う。

それからしばらくして、喬子の付き合いが悪くなった。
今までは塾のない日は図書館に行っていたが、誘っても「用事がある」とほとんど断られるようになった。
更に、別の小学校だった明進塾のメンバーとの付き合いが希薄になった。
当時から一緒にいるようになった音哉や愛美、四方健太郎(男子19番)らと一緒にいる回数が目に見えて減った。

その理由がわかったのは、1ヵ月後くらいだっただろうか。
喬子が親しげに話をしているのは、紗和子が嫌う不良のメンバーらだった。
噂で、喬子が須藤大和と付き合っている、というのを聞いた。

直感した。

喬子は、騙されている。

弱みに付け込まれて利用されている、そう思った。
喬子は可愛らしい子だ、きっと狙われたに違いない。
須藤大和という、あの悪魔に。
大和と一緒にいる喬子は、紗和子が見たことない程に表情豊かだった。
だけど、それも騙されているんだ。
いつか裏切られて、捨てられて、喬子は傷つくんだ。

今まで不良に対して持っていた嫌悪が、憎悪に変わった瞬間だった。

許さない、不良なんて…大嫌いだ…
わたしの1番大切な友達を、傷つけようとする人たちなんて…っ

 

 

プログラムが始まり、紗和子は1人で放浪していた。
どうすればいいのかわからなかったので、とりあえず音哉や愛美や健太郎、そして喬子を探そうと思っていた。

そんな時に見つけてしまった。
喬子と、あの悪魔――須藤大和を。
そして、あろうことか、2人は抱き合っていた。

紗和子の中で、何かが切れた。

もう、許さない。
喬子が、大切な友達が傷つく姿なんて見たくない。
だったら――傷つけられる前に殺してしまえばいい。
そう、思った。

 

わたしは友達を思っただけ…
なのに、どうしてわたしは責められているの…?

紗和子の目に涙が滲んだ。
愛美が不安げにそれを見つめている。

「紗和ちゃん…?」

音哉に声を掛けられたが、紗和子の耳には届いていなかった。
キッと大和を睨みつけた。
睨み殺してしまいたかった。
それは叶わなかったが、怯ませることには成功したようだ。

「アンタなんか…大嫌い…っ」

搾り出すように出した声は、信じられないほどに低かった。
紗和子の唸るような声に、その場にいた全員が言葉を失った。

「大嫌い…大嫌い…憎い…憎い…っ
 だから…殺そうと……須藤くんを……あたしは…殺そうと…っ」


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