過去ログ - 伊織「さようなら」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:38:26.24 ID:fz9LGbgw0

ああ、話が逸れちゃった。
続けるけど、私はお兄さまたちを参考にすることにした。
素晴らしい才能を持っていながら、一切それを鼻にかけたりしないの。
真面目なだけじゃなく、遊ぶ事も知ってる。見識がとっても広いの。
その時の私は不思議だった。どうして、自慢しないのか、って。

私はたまたま家に帰ってきていたお兄さまに尋ねた。ああ、上のお兄さまに。
『お兄さまはどうして素晴らしい能力を持っているのに、それを自慢しないのですか』って。

そうしたら、お兄さまはくすくすと笑っていたの。でも、蔑んでいるわけじゃなかった。
とっても嬉しそうに、私を見て笑うの。私まで笑ってしまいそうだった。
でも、どうしてもわからないから、続けて尋ねた。

『お兄さまが自慢をすれば、きっとみなは褒めてくださるでしょう』
『それだけの事をなさっているのですから。私は、何か間違っているでしょうか?』

不安そうに尋ねると、お兄さまは慎重に言葉を選んでいるようだった。
私のような小さな妹に対しても、真剣に考えてくれていることがわかった。
だから、私はしばらく待った。それが5秒だったか、5分だったか、覚えていないけれど。

そして私の目を見て、こう言ったの。
『間違っていないけれど、間違っているよ』って。

お兄さまが言葉を真剣に舌の上で転がして選んで、出した結論がそれだった。
ならばきっと意味がある、今の私には意味が分かっていないだけなのだと。
そう思った。

思い返してみれば、私はお兄さまのしていることをほとんど知らなかった。
だから同じ立場になろうと思った。でも、まず何をすれば良いのだろう。
こういう時にお兄さまを頼ればいいかも…と思ったけれど、それはしなかった。

決めたのだから。




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