過去ログ - 伊織「さようなら」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:38:58.79 ID:fz9LGbgw0

お兄さまと同じ立場になるという事が分からなかった。
お兄さまと私を比較して、自分のあらさがしをして落ち込む、ただそれだけだった。
先が見えないので、改めて自分の置かれた立場というものを再確認してみることにした。

水瀬伊織。中学生で、水瀬財閥の娘。
ただ、それだけ。他に言いようがなかった。それは今までの経験からもそう思った。
社交界でパパについていった時も、口を揃えて言うの。
年齢、性別、職業…みな違う人たちなのに、同じ事を言うの。
『ああ、あの、水瀬財閥の…よろしくお願いします』って。

人が私を呼ぶときに外れることはなかった評価が、『水瀬財閥の』だった。
もし仮に、私が水瀬財閥の娘でなければ、人は私にどのような顔をしたかしら。
同じように、私に笑いかけてくれたのかしら。にっこりと、私の目を見て。

…その下にある、本音を隠して。

ねえ、私に挨拶をする、ってどんな価値があるか知ってる?
私が社交会に行くと、みな私に挨拶をするのに必死なの。
だって、私に挨拶をして気に入られたなら、仕事でいい思いが出来るのだから。

私に挨拶する、って事は結局、2人に挨拶することと同じなの。

…私の後ろには、パパがいるのだから。そして、おじいさまも。
世界的な企業を統べる、2人の王に。




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