過去ログ - 凛「まどか? 聞いたことの無いサーヴァントだわ」 その2
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◆7F1xhg7Fvs
[saga]
2013/03/20(水) 00:48:40.34 ID:9dGL15oYo
だがおかしい。人の身体に剣などあるわけがない。
一般人としての常識も、魔術師としての非常識も、それを異常だと見做している。
「どうして剣なんだ……?」
「見えたか。その鞘、少なく見積もってもAランクはある宝具だ。
剣から染み出る魔力を元に、持ち主の存在を少しずつ書き換えていっている。相当な名品だね」
「書き換え!? それってまずいんじゃないか?」
「まずいね。君、間違いなく人生狂わされてるよ。なんだってこんなもの入ってるだろうね。
まあ悩んでも仕方ないし、体に害は無いから深く考えないのがいいんじゃないかな」
え……? 君?
――いや、本当は分かっていた。ただ、確信がもてなかっただけで。ただ、深く考えないようにしていただけで。
この構造は紛れも無く衛宮士郎のものだ。存在骨子から構成材質、蓄積年月に至るまで全てが俺。
胸に手を当てる。皮の上から肋骨を触る。心臓の鼓動が早い。けれどそんなものより深いところに、剣と鞘がある。
気付いてしまえば当然のことで、これまで何も感じていなかったことが不思議なくらい。
俺の中には、剣と鞘が入っている。痛んだ剣と、完全な鞘。それが俺に、根ざしている。
本来の自分はもう欠片ほどしか残っていなくて、そのわずかな自分が磨かれていく。
気持ちが悪い。
鬼ごっこで擦りむいた傷が、遊び終わったあとになって痛み出すように。
テストが終わった直後、急に思い違いに気付くように。
「大丈夫かい?」
気付いてしまえば、もう戻れない。
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