過去ログ - 1~2レスで終わるSSを淡々と書く
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23: ◆WoKACJPFC.[sage saga]
2013/03/15(金) 18:59:42.67 ID:JLyRmb8y0

裏山にある廃墟が僕の秘密基地だった。
いつも学校が終わると、こっそりとそこに行き、何もせずただ時間を過ごすのが好きだった。

僕は友達が多いほうではなかったし、昼休みは一人で本を読んでいるほうが好きだ。
がちゃがちゃしている学校の匂いが僕には好きになれなかったし、
誰かと話すときのあの微妙な共感が気持ち悪くてしょうがないのだ。

中学生、それじたいが罪だとも思えるし、免罪符だと思える。

ある日、放課後に秘密基地に行くと大の字になって寝ている誰かがいた。
誰かというより、僕の好きだった人である。
彼女は掴みどころのない変わった人で、僕と同じように一人を好んでいた人だった。
図書館でなんどか見かけたことがあったが、
いつの間にか彼女を目で追っている行為が自分で馬鹿らしく思ってしまい頭の中から消してしまった女の子だった。


「あの。なにしてるの」

「あ、みつかっちゃった」

彼女はもぞもぞと起き上がり、僕の顔を観察しているようだった。
僕は恥ずかしくなって顔を逸らす

「なにって…ここ、僕の秘密基地だったから」

「僕の?誰が決めたの」

「そりゃ、僕だけど」

「君にこの場所を秘密にする権利はないと思うよ?」


それはもっともなご意見であり、僕が腹を立てる必要はないのだがイラッとした。


「だったら、君もそこで寝てたじゃないか」

「ありゃ、見られてた?」

「大の字になって寝てたでしょ」

「うんにゃ照れるね…」

彼女は頬をほんのり赤らめた。

彼女は文字通り掴み所のない女の子だった。サイコロみたいにコロコロ表情が変わる。
僕はそれに追いつこうと右往左往しており、彼女もそれを楽しんでいるように思えた。



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