過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 12:35:01.47 ID:bwJZNukvo


「……織姫のベガ。掴まえられないよな」



そう言って、かざしていた手を静かに下ろした。


「……」


こと座のベガ、織姫と彼女を重ねたのだと思う。


「お疲れ様。どうだった、仕事のほうは」

「……無事、終わることができました」

「悪いな。急な用事が入って、一人で行かせてしまって」

「ひとりでも平気でしたけど……ラジオ、聞いてくれなかったんですね」

「……あぁ。ラジオ聞きながら仕事なんて……できないからな……」

「そうですよね」


出演したラジオ番組について、指摘があればしてほしかった。

そのことで、一抹の不安を感じていた。


それと、小鳥さんから聞いたことについて。


「プロデューサーさん……私なんかが聞いていいことなのか分からないですけど」

「なんだ?」

「その……社長と……なにか……あったそうですね」

「……」


慎重に聞くはずが、ストレートに聞いてしまった。

だから、彼は隠してしまう。


社長と揉めていたことを。


小鳥さんだけが僅かに聞いたという、二人の口論を。



「今後について、ちょっとな」

「……」



仕事のことだと勘違いしたから、それからは深く聞くことが出来なかった。


今思えば……今……思えば……


あの時が運命の分かれ目だったのかもしれない……


もっと早くに気づくことができれば。


私が彼にしてあげられることがたくさん……あったかもしれないのに……!




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