過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:3
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337:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/03(日) 01:45:17.53 ID:87F/3zd+o
智「勿論教えるよ。 でも、それより惠の様子は? 回復したの?」

 一番重要なのはそこだった。
 誰かが様子を見ているならそれでよし、そうでないのなら……いや、それは考えないようにしよう。
 僕の質問に皆が顔を見合わせて、答える。

伊代「……峠は越した、らしいわ。 今のところは〈才能〉で回復に向かってるみたい」

智「らしい?」

こより「一応、まだ予断を許さない状況らしくて……鳴滝達も、まだ会っていませんです……」

 心の中の黒いもやもやが、酷く膨れ上がる。
 予断を許さない状況。 それはつまり、まだまだ安心はできない、出歩くなどもってのほか、ということだろう。
 しかしそれはあくまでも、字面通りに受け取れば、の話だ。
 あのマクベスを使った『彼女』――あれが惠だとするのなら、その言葉はまるで信用出来ないものに変貌する。
 つまるところ、佐知子さん、浜江さん、この二人共が何らかの理由を持って惠を庇っている、ということになる。
 僕は屋敷を仰ぐ。

るい「トモ?」

 物理的に大きく、どこか壮大さすら感じたこの屋敷は、今となっては。
 外壁に絡みついている蔓も、生い茂っている草木も、静寂で落ち着く雰囲気も、全て。
 僕にとっては、訪れる者全てを拒んでいるように感じられた。

智「……ううん、なんでもない。 それより、中に入ろう。 佐知子さん達も居るんだよね?」

伊代「ええ。 そうだ、あなたの報告もそうだけどわたし達もただ黙って待ってたわけじゃないのよ?」

こより「はいっ! 何を隠そう、〈呪い〉のことについて誰かが研究していたノートを発見したのです!」

智「!?」

 もしそれが本当だとしたら、それはすごい進歩だ。 僕の情報なんて比べ物にならないくらいに。
 逸る気持ちを理性で抑えながら、僕らは陰鬱な雰囲気の漂う屋敷の中へ入るのだった。


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