過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:3
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396:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/10(月) 01:27:18.47 ID:ntyCRVgTo
惠「智……」

 惠は僕の言葉を認識し、一度頷く。
 そして佐知子さんを促して語り始める。
 才野原という存在に課せられたその血脈、その運命を。

 彼らの血筋は、代々心臓の疾患により短命だということ。
 早ければ十代には発症し、遅くても三十代にはその生命を落とすということ。
 そして。
 惠は既に、命を落としているということも。

 惠の才能は――――『命の上乗せ』。
 それも無条件に寿命を引き伸ばすわけではない。
 自分が一度死んでから、自らの手で奪った命をそこに重ねて生き返る能力。

 疑問を抱き、混乱に塗れ、希望を捨てず。
 そして辿り着いた真実。
 それが、この底の見えない絶望の淵だった。

智「そんなのって、ない……」

 ようやく、絞り出した言葉がそれだった。
 興味本位じゃない? 真実を確かめたい? それを共に背負いたい?
 仲間だから?
 そんな安っぽい言葉を吐いた僕が、とても小さく見える。

 惠は、何度も死んだ。
 何度も、何度も、何度も、何度も。
 つい最近のあの瞬間にだって、命を落とした。
 そして、また生き返る。 手ずから摘み取った命を使って。


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