過去ログ - 勇者「王様が魔王との戦争の準備をしている?」 2スレ目
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17: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:49:44.44 ID:3mmpyc380

 九尾は上空へと逃げた。そこへ槍がまたも投擲され、九尾の脇腹を掠ってゆく。
 バランスを崩した九尾へと、またもメラゾーマの雨。仕方がなしに障壁を唱えながら、足元にいったん力場を生み出し、緊急回避的に集団から距離を取る。

九尾「行きつく暇も――」
以下略



18: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:50:16.16 ID:3mmpyc380

ビュウ「右手はなくても左手があるっ!」

 誰も彼もが倒れ伏した中で、唯一彼だけが走っていた。
 力場を大きく踏みしめて、左手で剣を持って。
以下略



19: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:50:46.89 ID:3mmpyc380

 肩口に剣が食い込んで、腕を切断することはなかったが、確かに乳房まで傷が達した。

 九尾がぐらつく――踏みとどまる。

以下略



20: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:51:14.79 ID:3mmpyc380

 しかし、今、なんて言った?

 アルス、と。
 この弟子は言ったのか?
以下略



21: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:51:40.73 ID:3mmpyc380

 わかったものではない。あぁそうだ。わかったものではないからこそなお恐ろしいのだ。何がどうなるのかわかっていれば対処の仕様もあるものを。
 ……魔王と化したあやつ相手に、本当に対処の仕様があるかは、甚だ疑問であったが。

 九尾は力場に直立したまま、ふん、と鼻を鳴らした。
以下略



22: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:52:22.25 ID:3mmpyc380

 しかし不思議と絶望はなかった。なぜなら、九尾が戦闘態勢に入っても、まだ兵士たちは戦闘態勢に入っていなかったからだ。
 生き残った兵士総勢一四八名は、全員がわしのほうを見ていた。九尾などには目もくれず。

 おかしな話であった。本来戦闘を放棄するはずもない彼らが、戦わないのだ。しかも臨戦状態に入った九尾を目の前にしても。
以下略



23: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:52:51.18 ID:3mmpyc380



 笑いが零れる。涙が零れる。
 あぁ、眼が、頬が、頭が、熱い!
以下略



24: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:53:23.57 ID:3mmpyc380

グローテ「九尾」

九尾「……今更命が惜しくなったか? 土下座でもすれば、考えてやらんでもない。こう見えて、九尾は結構、心が広い、ぞ、げほっ、げほっ!」

以下略



25: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:53:49.50 ID:3mmpyc380
九尾「……は?」

グローテ「世界の秩序を乱す輩を、国に危機を齎す輩を、わしらは常に排除してきた。その業から、最早逃れられない」

九尾「……」
以下略



26: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:54:48.13 ID:3mmpyc380

 九尾の頭部、狐の耳がピクリと動いた。

グローテ「残り三本の尾で、魔王と化したアルスに、勝ちきれるか? 念には念を入れて、損はあるまい」

以下略



27: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:55:31.89 ID:3mmpyc380

 九尾は寧ろお前のほうが恐ろしいのだという眼でこちらを見た。そして、それは多分に侮蔑が含まれている眼の色だった。
 小さく九尾の唇が動く。悪魔め、と、そう言った気がした。

 その通りじゃよ、九尾。
以下略



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