過去ログ - ボク「甘くて苦くて不思議なチョコレート」
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1:1 ◆H97.geL.RM[sage]
2013/03/21(木) 01:07:49.78 ID:1/uCtKPfo

「どうして、アンタがアイツじゃないんだろう」

 彼女の呟きは、ポタリと、頬から落ちた。

 ――――そんなの、こっちが聞きたい位だよ。

 そんなボクの想いは、ポタリと、心に響いた。



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2:1 ◆H97.geL.RM[sage]
2013/03/21(木) 01:08:36.63 ID:1/uCtKPfo
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――

ボク「また男くん見てるの?」
以下略



3:1 ◆H97.geL.RM[sage]
2013/03/21(木) 01:09:03.71 ID:1/uCtKPfo
幼馴染「でも、今年こそ、渡せたらいいかなぁ」

ボク「渡せたらって、何が?」

幼馴染「何がって、バレンタインよ! 去年も、一昨年も、その前の年も渡せてないからさ」
以下略



4:1 ◆H97.geL.RM[sage]
2013/03/21(木) 01:09:40.05 ID:1/uCtKPfo
 予鈴が鳴る。きっと彼女はこの後の授業で夢の世界へ旅立つのだろう。毎回ボクが注意しても聞かないあたり、夜更かしをしてまでナニをしているのか聞きたいくらいだ。だけど、今回ばかりは寝れそうにないことを教えてあげよう。
 委員長による教師への号令がかかる。着席と共に前の席にいる幼に声をかける。

ボク「あ、幼。ちなみに今日の教科の補修はバレンタインの日にも食い込んでるから頑張ってね。」

以下略



5:1 ◆H97.geL.RM[sage]
2013/03/21(木) 01:10:11.05 ID:1/uCtKPfo
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――

ボク「それで、勉強の調子はどうなんだい?」
以下略



6:1 ◆H97.geL.RM[sage]
2013/03/21(木) 01:11:02.38 ID:1/uCtKPfo
 彼女は怒気を含んだ声でそうボクに叩き返す。
 ――――いや、むしろボクにとっても必要な言葉だったか。

幼馴染「アンタがどう言おうと勝手だと思ってたけど、アイツのことを悪いように言わないでほしいね」

以下略



7:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:11:46.89 ID:1/uCtKPfo
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――

 ――試験最終日・放課後。
以下略



8:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:12:17.24 ID:1/uCtKPfo
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――

ボク「あ」
以下略



9:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:12:46.45 ID:1/uCtKPfo
ボク「ちなみに、今まで言ってなかったことがあるんだけどさ」

 人を元気にさせる方法なんて、そうそう思いつくほど人生経験はしていない。だけど、彼女のことなら知っている。ボクは、誰よりも知っている自信はある。……それだけ。

幼馴染「なに?」
以下略



10:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:13:13.29 ID:1/uCtKPfo
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――

ボク「それで、試験結果はどうだった――って聞くまでも無さそうだね」
以下略



11:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:13:40.77 ID:1/uCtKPfo




幼馴染「応援、してくれるよね?」
以下略



12:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:14:12.29 ID:1/uCtKPfo
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――

 西日が差し込む16時。冬のおかげか、段々と薄暗くなっていくこの時間は好きだった。だけど、今はあまりそんな気分にはならなかった。なれなかった。頬を撫でる冷たい風も、コートによって暖かい身体も、ノスタルジックに感じるこの団地群も、特別な感情は沸かなかった。
以下略



13:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:14:39.45 ID:1/uCtKPfo
 少し、彼女の心が晴れた気がした。ボクは彼女の喜ぶ顔は好きだ。そんな彼女が嬉しくて、何度も噛み締めた。甘いそれは口をすぎて、お腹に入って、心に溶ける。甘くて、苦い。ハートに描かれたカラフルなデコレーションは、彼女の、そしてボクのココロのように砕ける。

幼馴染「あーあ、失敗しちゃったなー」

 元通りには戻らないのに、彼女はラッピングを大事そうに眺めている。悔しさと、哀しみと、恋焦がれたような瞳を、ボクは見ることはできなかった。
以下略



14:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:15:23.25 ID:1/uCtKPfo
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幼馴染「寒いね」
以下略



15:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:15:54.11 ID:1/uCtKPfo
 一口、もう半分もチョコレートは残っていない。差し込む西日も、薄っすらと消えてきた。この時期は、夜が早い。
 7号館、そんな奥地の公園だからか、静寂が広がった。吹く風が薙ぐ葉の音がかすかに聞こえる程度だ。そんな静寂の中、ポツリと彼女が言う。



以下略



16:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:16:24.11 ID:1/uCtKPfo
幼馴染「ごめんね、アンタまで辛い思いさせちゃったみたいで」

ボク「へっ?」

 もしかして気付かれてしまったんじゃないか、なんて思ったけどそれは杞憂だった。
以下略



17:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/03/21(木) 01:17:55.62 ID:1/uCtKPfo
くぅ疲(棒

突発的に書いた短編、というかバレンタインに聞いてた曲を元に書いてみた。
というかSS難しいね! 小説と違ってレス投稿だからどこで区切っていいかわからないのが、もう。

以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[ sage]
2013/03/21(木) 02:07:57.75 ID:NIQsHwZZ0
乙、イイヨーイイヨー切ないの好き…


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2013/03/21(木) 08:46:47.73 ID:nMKhY6iV0
面白かった、乙!



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/21(木) 11:22:22.09 ID:SyRZ+qHo0

切ないな……


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/21(木) 13:47:05.90 ID:Itdkz+dDO
面白かったです!


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