過去ログ - 美希・雪歩「レディー!」
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101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:42:50.68 ID:7LnCOhGJ0
「千早ちゃんは正直ね、でも――」
 あずさは、麦茶を入れたコップを、物憂げな表情をしながら手の中で揺らしていた。
「本音をぶつけないまま付き合うことが、自分や皆のためになるのかしら」
 千早は、再び驚いた顔をしてあずさを見た。

「ううん、私にも分からないけれど――
 でも、もしかしたらもっと単純に考えるべきなのかも知れないわね」
「それって、どういう――」
「さっき聞いた通りのことよ。千早ちゃんが、美希ちゃんに戻ってきてほしいのかどうか」

 あずさは、麦茶をくっと飲み干した。
「千早ちゃんも私も、怖いのね。美希ちゃんや皆と本音をぶつけ合うのが」
 千早は、改めてあずさが美希に戻ってきてほしいと思っていることを察した。

「そんな臆病な気持ちを抱えたままで、オーディションに受かる訳無いわよね」
 うふふ、と笑いながら、あずさはコップを洗って水切りに入れた。

「麦茶、千早ちゃんが作ったの? ありがとう、おいしかったわ」
「お茶くみや洗い物くらいなら、私にもできますから」
 そう言って見得を切る千早に、あずさはニコッと微笑みながら、給湯室を出て行った。

 ふと、千早は若草色のコップを手に取った。
 良く見ると、ほんの少しだけ底が汚れている。
 普段なら何とも思わないのに、今日に限ってそれがどうしても気になってしまうのは何故だろうか。

 千早はそのコップを流しに持って行くと、再びスポンジにたっぷりと洗剤をつけ、丹念に洗い始めた。



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