146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:14:16.18 ID:7LnCOhGJ0
「何で泣いてたか、って聞かないの?」
真は、伊織に聞いた。
「別にいいわ―――何となく分かるし」
伊織は、月明かりに照らされた遠くのビル郡を眺めながら答えた。
「どうせ、何て自分はダメな人間だったんだ、とか思っていたんでしょう?
あんた、自分の事ばっかり考えるものね」
「―――あぁ、本当にね」
真は、手すりにもたれた。
伊織から借りたハンカチをジッと見つめ、折ったり伸ばしたりしている。
「自分では、このままじゃいけない、こうしなきゃって思ってるのに――
それをしないで、一人でイライラして―――馬鹿だよね」
ふふっ、と真は乾いた笑いを浮かべた。
「おまけに美希のことを、ダンスや歌だけじゃなくて、アイツとの事に関しても嫉妬しちゃったりしてね」
伊織がさらに追い討ちをかけたが、真は鼻で笑った。
「それは伊織も一緒だろ」
「何よ」
「何だよ」
二人はしばらくにらめっこをしていたが、やがて声をあげて笑った。
「ボクは、美希に嫉妬していた。
それでひどい事を言ったのをちゃんと謝りたいから、美希に戻ってきてほしい。
すごく―――わがままなのは分かってるけど」
真は顔を上げ、伊織の顔を見た。
「伊織も、美希に戻ってきてほしいよね?」
「――当たり前じゃない」
伊織は、手に持っていたぬいぐるみを抱きしめた。
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