155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:27:51.69 ID:7LnCOhGJ0
「それからの皆の様子は、どうですか?」
プロデューサーは、病室の窓の外を見つめる高木の背中へ問いかけた。
「何も心配はいらない。
アイドルの皆は意欲的にレッスンを行い、律子君や音無君もそれに応えるように全力でサポートを行ってくれている」
高木は笑った。
「私など、何もすることが無くなってしまったよ」
「キミの方こそ―――どうだね、体の具合は」
高木は、振り返ってベッドのそばにある椅子に座った。
「社長の話を聞いて、今すぐにでも事務所に戻りたくなりました」
プロデューサーは、折れていない左の手を顔の前で握ってみせた。
握りこぶしが、細かく震えている。
「焦らない方が良い。今の君の仕事は、しっかり休む事だ」
高木は、差し入れのリンゴを一つと、そばにあった果物ナイフを手に取った。
「今の私に出来る事は、こんな事くらいかな」
「それで、雪歩は――?」
すみません、と言いながら、プロデューサーは社長に聞いた。
高木は、リンゴの皮を静かに剥いている。
「――近々、律子君が彼女の家に行くそうだ」
「―――そうですか」
彼女にとって、今の事務所に雪歩がいない事がよほど悔しいのだろう。
たぶん、自分でもそうするだろうなと、プロデューサーは思った。
しかし、雪歩がアイドルを続ける意思があるのかどうかは、彼にも分からなかった。
それに、不安は別のところにもある。
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