167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:54:12.44 ID:7LnCOhGJ0
「しかし、時にそれ以上のものを感じさせるほどの頑張りを、あの子は見せていました。
私達が心配になるほど、ずっと遅くまで練習をしたり、見えない努力を重ねてきました」
雪歩の父は頷いた。
「それは知っている」
律子も頷き、続けた。
「そして、ようやく私達は気づきました。
あの子は気弱ではありますが、決して精神はひ弱ではない。
誰よりも根性があり、頑固で芯の強い子であるということを」
「そして今日、その精神はきっと、お父様から引き継がれたものだろうと感じました。
娘を大切に思う頑固な意思が、お父様のお話の節々に感じたのです」
「外見は母親譲りですが、その意思の強さは父親譲り―――違いますでしょうか」
律子は、雪歩の父の目を見た。
少しだけ、目が丸くなっているような気がした。
しばしの沈黙が流れた後、雪歩の父は後ろに立っていた坊主の男を親指で指し、思いついたように語りだした。
「この男は、俺の組の若衆の頭でな」
「ウチの家の世話役もやっている。
若衆の間で決めたことのようだが、こいつとしては俺の用心棒も勤めているつもりらしい。
てめぇのタマなど何とでもなるのに、余計なお世話だ」
そう言った後、雪歩の父は坊主の男――若頭に目配せをし、ソファーからゆっくりと立ち上がった。
すかさず、後ろに立っていた若頭が入り口の襖を開ける。
「見せたいものがある。ついてきなさい」
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