178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:19:06.92 ID:7LnCOhGJ0
フェスの戦略が概ね固まったところで、プロデューサーは律子に事務所の近況を聞いた。
「前にも言いましたけど、本当に皆変わりましたよ。
特に美希なんて、実は今までと違う子なんじゃないかって思うくらい」
律子は肩をすくめた。
復帰してからの美希は、まるで人が変わったようだった。
誰よりもレッスンに打ち込むだけでなく、春香ややよい、真など、他の皆に対してハッキリとしたダメ出しを行うようになった。
当初は、それによるメンバー間での衝突も少なからずあったが、それでも美希は遠慮しなかった。
やがて、美希のように、他の皆も自分の考えを素直に打ち明けるようになった。
白熱するあまり、アイドルとしての活動方針にまで議論が発展するほど、各々が自身の持つ課題を真剣に考えるようになっていった。
美希は、いまや765プロの中心的な人物となっていた。
「オーディションも、ジュピターが出ないものにはまず負けないようになりましたし」
「あぁ。皆、最近はテレビやラジオにも出るようになったと感じている」
プロデューサーは、テレビのリモコンに手を伸ばし、スイッチを押した。
春香が、バラエティ番組で共演者と楽しそうに話している映像が流れる。
「―――これで喜んでちゃいけないよな」
「当たり前です」
「フェスの本番までには、たぶん俺も退院できると思う。世話をかけたな」
「私は何もやっていません。
美希に引っ張られるあの子達の後ろをついて行き、背中を少し押していただけです」
「そんな事無いよ」
プロデューサーは、窓の外に目をやった。
「雪歩の復帰するステージを、最高の形で整えてやらないとな」
プロデューサーの言葉に、律子は力強く頷いた。
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