187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:40:59.65 ID:7LnCOhGJ0
「雪歩さんの本当に、け―――けんき、な――?」
「“けなげ”な、ね」
「あ、はい! えーと、健気な姿勢には、すごくいやされます。
私の父も、か、かいご、よく―――?」
「“ひごよく”って読むのよ」
「へぇー、“庇護欲”ってそう読むんですかー!」
雪歩のファンレターを、やよいは自分の事のようにニコニコしながら一枚一枚手に取った。
小鳥は、何も言わずにやよいの隣に座り、段ボールの前ではしゃぐ彼女を見ていた。
「美希さんのファンレターの多さもすごいけど、雪歩さんもすごいですー」
一通り読み終わった後、やよいは改めて感嘆の声を上げた。
「私も、皆さんみたいに立派な人になりたいなー」
「やよいちゃんは十分立派よ。
ファンレターだって皆に負けないくらい多いし、何より事務所の雑務を嫌な顔一つしないでやってくれているじゃない。
今の事務所があるのは、やよいちゃんのおかげなのよ」
小鳥が、やよいの頭を撫でた。
「今日はもう遅いから、残りの洗い物とかは私に任せて、早く帰りなさい。
長介君達も、お姉ちゃんの帰りを待っているんでしょう?」
「うっうー! 小鳥さん、ありがとうございますー!」
やよいはその場に立ち上がり、勢い良くお辞儀すると、パタパタと更衣室に走った。
小鳥は、その後ろ姿を笑顔で見つめると、給湯室の洗い場へと向かった。
「―――あっ、小鳥さん、それじゃダメです!」
帰り際、給湯室を覗いたやよいが突然小鳥を叱った。
「律子さんのコップは、もっと手前の取りやすい位置に置いてください。
それに、お皿の油汚れを洗った後に皆のコップを洗うと、臭いがついちゃいます。
特に伊織ちゃんはそういうの厳しいから、メッ! ですよー!」
結局、やよいに細かく指示を受けながら、小鳥はその日の洗い物を終えた。
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