177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:15:50.31 ID:7LnCOhGJ0
【9】
「無難に『オーバーマスター』で行くのも捨てがたいがな」
病室のベッドの上で、プロデューサーは腕組みをしながら言った。
「新曲か―――本人達が望んでいるのなら、それで勝負しよう」
178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:19:06.92 ID:7LnCOhGJ0
フェスの戦略が概ね固まったところで、プロデューサーは律子に事務所の近況を聞いた。
「前にも言いましたけど、本当に皆変わりましたよ。
特に美希なんて、実は今までと違う子なんじゃないかって思うくらい」
律子は肩をすくめた。
179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:21:07.16 ID:7LnCOhGJ0
「そっか、じゃあ今度一緒にレッスンできるのは来週になっちゃうなー」
響はそう言いながら、公園の池にお菓子を放り投げた。
「あ、響。カモ先生にお菓子あげる時は、もっと優しくしなきゃダメなの」
「うっ――ご、ごめん」
180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:23:20.25 ID:7LnCOhGJ0
「―――あの時は、申し訳ありませんでした」
ふと、貴音が美希に向き直り、頭を下げた。
「えっ? い、いきなり何なの?」
意味が分からずにうろたえる美希も珍しい、と響は思った。
181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:26:39.57 ID:7LnCOhGJ0
「だから、今日が卒業式なの」
急に、美希が響を放した。
「えっ―――卒業式?」
響が、不思議そうに首を傾げた。
貴音は、まだ響の髪を撫でている。
182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:28:40.91 ID:7LnCOhGJ0
本番を二週間後に控えた日の夜、ジュピターの北斗と翔太は961プロの社長室を訪れていた。
「仕上がりは順調か」
黒井は、二人には目をくれず、デスクの上に置いたオセロを一枚ずつめくっていた。
「何しにきた」
183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:30:44.57 ID:7LnCOhGJ0
「冬馬は知っているのか?」
「たぶん知らないよ。知ってたら、この事務所辞めてると思うし」
翔太の言葉に、黒井の肩がピクッと動いた。
「冬馬君、曲がった事が大嫌いだもん。
184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:32:46.18 ID:7LnCOhGJ0
「いち、にぃ、さん―――――!」
組の若衆が作ってくれた自分専用のレッスン室で、雪歩は今日も汗を流していた。
仕上がりは悪くない。
皆で歌う曲は、これから行われる合同練習で最終調整をしていけば良い。
185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:34:51.10 ID:7LnCOhGJ0
ふと時計を見ると、夜の11時を回っていた。
雪歩は、慌てて片づけを行い、レッスン室を出た。
「あっ――」
部屋を出た瞬間、組の若頭の背中が目に飛び込んできた。
186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:37:23.07 ID:7LnCOhGJ0
「うっうー! 小鳥さんお茶ですー!」
二人だけが残った夜中の事務所に、やよいの元気な声が響いた。
デスクにお茶を置いた後、小鳥が礼を言うよりも早く、やよいはパタパタと給湯室回りの掃除に向かった。
「やよいちゃん、お茶を淹れるのが上手になったわねぇ」
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