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2013/03/23(土) 22:49:12.56 ID:sFFUNv8Z0
【4】
事務所のデスクで、律子は頭を悩ませていた。悩みの原因は美希だ。
アイドルの人数が増えたことを受け、律子とプロデューサーはメインでプロデュースするアイドルをお互いに分担することにした。
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2013/03/23(土) 22:51:03.39 ID:sFFUNv8Z0
以前、自身が不真面目である旨を公言した通り、美希が積極的にレッスンに打ち込むことは少なかった。
その姿勢は、オーディションを勝っていく度に顕著になり、ひどい時は無断でレッスンを欠席することさえあった。
その理由を問い質すと、美希は決まってカモ先生なる人物に会うためだと言う。
どういう教育を彼女にすれば良いのか、律子もカモ先生に会って教えを乞いたいと思った。
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2013/03/23(土) 22:53:08.57 ID:sFFUNv8Z0
この日、レッスンスタジオには真と響、貴音、雪歩が来ていた。
本当は美希も来る予定なのだが、集合時間はとっくに過ぎている。
響が美希の携帯に電話しても、繋がらない。
「―――まぁまぁ、なんくるないさー! さぁ、練習始めようよ!」
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2013/03/23(土) 22:54:50.03 ID:sFFUNv8Z0
「皆、ごめんなさいなの。今、ミキも準備するから、ちょっと待っててね」
美希はそう言ってバッグから靴を取り出すと、いそいそと靴を履き替え靴紐を結びはじめた。
「お疲れ様、美希! また例の“カモ先生”の所?」
真は明るく美希に問いかけた。
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2013/03/23(土) 22:56:38.54 ID:sFFUNv8Z0
「いいえ、その必要はありません」
ゆっくりと、しかし極めて冷徹な声がレッスン室に響いた。
誰もが皆、今の声が貴音のものであると、すぐに理解することができなかった。
「美希、今日はもう帰りなさい。
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2013/03/23(土) 22:59:27.28 ID:sFFUNv8Z0
「皆のためになることができて嬉しいと、本当にそう思うのなら、普段の練習も真摯な姿勢で望んで然るべきです」
美希は貴音の言葉に何を言い返して良いのか分からず、キッとその目を睨んでいるが、貴音は全く動じる様子は無い。
「ジュピターとの合同練習以後、私達は心を新たにし、真剣な姿勢で精進を重ねることを約束したはずですね」
「貴女は嘘つきです、美希」
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2013/03/23(土) 23:01:25.14 ID:sFFUNv8Z0
「まだ練習していくのか?」
響の問いかけに、雪歩はいつも通り笑顔で応えた。
「あまり無理しない方が良いよ」
「うん。ありがとう、真ちゃん」
66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:03:38.50 ID:sFFUNv8Z0
その甲斐もあってか、最近はレッスンのコーチや、自身を担当するプロデューサーに褒められることが多くなった。
「真達から聞いたぞ。まだ居残り練習を続けてるんだってな」
マンツーマンでのレッスン後、プロデューサーから唐突に指摘され、雪歩は顔が赤くなった。
本当は、それ以外にもトレーニングはしているのだが、恥ずかしくて言えない。
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:05:30.73 ID:sFFUNv8Z0
「自分から四面楚歌になるような状況を作って、何がしたいんだか――」
プロデューサーは、ハァと大きくため息をついた。
「み、美希ちゃんは大丈夫です。私なんかと違って、すごいですから――」
雪歩は、震える声でプロデューサーに言った。
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:08:20.44 ID:sFFUNv8Z0
美希がエントリーしたオーディションの当日がやってきた。
前評判通り、ジュピターもエントリーしている。
会場となるテレビ局はお台場にある。
環八通りから羽田出入口で首都高に乗り、昭和島ジャンクションで湾岸線に乗り換える。
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