70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:11:32.39 ID:sFFUNv8Z0
「全員、集まりましたか? では、今日の参加者の確認を行います」
審査員が、参加者の名前を読み上げる。
ジュピターの名前が呼ばれると、会場に「おぉ〜」という歓声が沸いた。
「まだ始まってもいないのに――」
美希はあくびをしながら、冷めた態度でオーディションが始まるのを待った。
緊張感は無いようだ。
「今日はあなたの言う通りにセッティングしたわ。
ちゃんと結果を出せなかったら、分かってるわよね?」
半ば脅しとも取れる律子の言葉にも、美希は動じる様子は無かった。
「全然、ヨユーなの。勝率150%。あっ、雪歩おにぎり持ってない?」
「えぇっ? そ、そんな、急に言われても――」
「アハッ! ウソウソ、冗談なの。雪歩って何でもすぐ真に受けるよね」
人目をはばからずに笑いながら、美希は雪歩の肩を叩いた。
良かった、いつもの美希ちゃんだ。
今日のオーディションに対し萎縮もせず、普段通りにのんびりしている美希を見て、雪歩は大いに安心した。
美希がこの日のために選んだ曲は『マリオネットの心』だった。
選曲理由は聞いていない。
だが、もっと自由にやらせてほしい。自分は事務所の人形ではない。
そのような事を、このオーディションを通して皆に訴えたかったのだろうか。
律子がそう曲解せざるを得ないほどに、あの日の美希の剣幕は異常だった。
美希が十分な練習を自主的に重ねて今日を迎えてきていることを、律子は願った。
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