75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 23:24:14.48 ID:sFFUNv8Z0
「もういい―――もう止めて」
か細い雪歩の声が聞こえて、美希は顔を上げた。
雪歩の目からは、堪えきれなかった大粒の涙が溢れ出ていた。
「無理にアイドルやらせて、辛い思いをさせちゃったのなら、謝る。
律子さんやプロデューサーにも伝えるよ」
「でも、そうやって事務所の人達を悪く言うのは止めて。
お願い―――皆、一生懸命、頑張ってるから。
皆、美希ちゃんが好きで、尊敬してるから―――
美希ちゃんみたいに、結果を出したくて、頑張ってる人を、美希ちゃんが馬鹿にするのは、止めて」
雪歩は、美希をまっすぐに見つめていた。
肩は震え、涙が地面にいくつも落ちた。
「これも、わがままだよね―――ごめんね、でも許して、お願いですぅ」
何度もむせびながら、雪歩はそう美希に懇願した。
まだ視線は逸らさなかった。
雪歩のすすり泣く声だけが、辺りに響いていた。
美希は、携帯を弄るのも忘れ、目の前で泣く雪歩を呆然と見つめた。
やがて、長い沈黙の後、ようやく雪歩は呼吸を整えた。
「―――今まで、ありがとね、美希ちゃん。楽しかった」
雪歩は最後にそう言い残し、美希の元を去った。
美希は、先ほどまで打っていた友人へのメールを削除した。
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