93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:19:18.95 ID:7LnCOhGJ0
ふと、プロデューサーは近頃の雪歩の様子を思い出した。
例えば、車に乗せて移動する際、いつもは助手席に浅く腰掛けてオドオドしている事の多い彼女だが、最近は違う。
移動先に着き、プロデューサーが起こすまで、グッスリと寝ている事が多くなった。
声を掛けるだけでなく、肩を揺らすまで起きないこともザラだ。
そして、起こすと決まって雪歩は余計にオドオドしながら「居眠りしてごめんなさい」と謝るのだった。
そういえば、今日も雪歩は床につまずき、お盆に乗せたお茶をこぼしそうになった事があった。
真と伊織が「大丈夫?」と声をかけると、彼女は照れ隠しで「えへへ」と笑っていた。
あの笑顔の裏に、何かあるのかも知れないと思うと、急にプロデューサーは不安になった。
「とにかく、気をつけて見ておくよ。
あと、スタジオの管理人さんには俺からも謝っておくから」
すまん、と言いながら、プロデューサーは律子に頭を下げると同時に、右手を突き出して手刀を切った。
「頼みますよ。あの子、あまり弱音らしい弱音は吐かないですから」
そう言いながら、律子は美希の事を思い出していた。
雪歩まで潰れるような事があってはならない。
ドアノブに手をかけようとしたが、目測を誤ってプロデューサーは大きく体勢を崩し、ドアに頭をぶつけた。
「あっ、と―――大丈夫ですか?」
呆れるような視線で見つめる律子に対し、プロデューサーはバツが悪そうに笑った。
「ははは、かっこ悪いな」
時計を確認し、プロデューサーは雪歩に声をかけた。
最近は、雪歩にもグラビアの仕事が増えてきたのだ。
先に車に乗っておくよう雪歩に伝えた後、自分は書類を整理しながら、律子の言葉を頭の中で反芻していた。
240Res/253.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。