99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:36:28.08 ID:7LnCOhGJ0
「お疲れ様です、あずささん」
千早は状況を察知し、なるべくオーディションの事には触れないようにと思った。
「あら〜、千早ちゃんお疲れ様。何か冷蔵庫に飲み物入ってたりしないかしら〜?」
あずさは、普段通りの口調で千早と挨拶を交わすと、冷蔵庫を開けて中身を物色し始めた。
「今朝作っておいた麦茶ならありますけれど」
「まぁ、それじゃあいただこうかしら。これ?」
「えぇ」
あずさは、冷蔵庫から麦茶が入ったポットを取り出した。
「えぇっと、コップは、コップ――」
続いて、あずさは食器棚からコップを選ぶ。
自分用に名前が書かれた食器もあれば、書かれていなくとも何となく特定の人がいつも使っているものもある。
「―――じゃあ、これ」
あずさが選んだ若草色のコップを見て、千早が「あっ」と小さく声を上げた。
それは、名前こそ書かれていないが、美希が何となく愛用していたものだった。
「どうかしたの、千早ちゃん?」
あずさが、少し意地の悪い顔をして千早に問いかけた。
「うふふ、そう言えばこのコップ、美希ちゃんがいつも使っていたわねぇ」
やっぱり、確信犯だ。千早は、そう言って笑うあずさが少し不愉快に思えた。
「私、前からこのコップがお気に入りだったのよねぇ。
美希ちゃんもいなくなった事だし、こっそり名前、書いちゃおうかしら」
「それは――!」
咄嗟に何かを言いかけて、千早は飲み込んだ。
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