過去ログ - 劇場版・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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[saga]
2013/03/29(金) 22:46:31.85 ID:4764DHEAO
〜1〜
麦野「――!?」
耳に痛いスズメの囀り、目に痛い朝の光を受けて麦野は剥き出しの胸を放り出してベッドから跳ね起きる。
それがけたたましい目覚まし時計よりも寝覚めの悪い夢によってもたらされた事に、漸く思考が追い付く。
麦野「……夢か」
カラカラに渇いた喉を乾いた笑いで鳴らし、麦野は右手で顔を覆って頭を振る。懐かしむには悪い夢だと。
麦野「(どうして今頃になって?もう三年以上前になるのに)」
低い血圧にぐらつく頭、低い血糖にふらつく足をベッドから放り出しフローリングに人肌の残滓をつける。
ペタペタと足音を鳴らしながら冷蔵庫へと向かって、メトロミントのキャップを外して一気に煽って行く。
食道に達する前に舌と粘膜に吸収されて行くような渇きは、一本丸々空けるまで続いてようやく癒された。
麦野「まだ七時じゃん」
麦野に早起きは三文の得という概念はない。少なくとも二度寝に勝るほどの価値などない。それは例えば。
「うーん」
麦野「(私がこいつより先に起きるって結構珍しいかも知れない。って言うかこういう寝顔してたんだ)」
一日中、服も着ないで一緒にベッドでゴロゴロしながら海外ドラマを見て気がついたら眠っているような。
うつらうつらと腕の中でその温もりを感じながら二度寝する幸せには替えられない。だが例外も希にある。
今も自分が抜け出したベッドで涎を垂らしている男の寝顔を眺める事。寝起きの悪い麦野にはレアな光景。
「うーん、うーんインデックスさんそれ以上は勘弁して下さい上条さんのお財布のライフはもう0でせう」
麦野「……散々ヤる事ヤッといて寝言で違う女の名前呼んでんじゃねえよ!さーん……にー……いーち!」
「ハッ!?」
だがそれも他の女の名前を寝言と呟くまでであり、あわや永眠しかねないほどの光芒を放たんとした所……
麦野の原子崩しは男の『右手』で握られた瞬間、消失した。初めての出会い(ころしあい)の時のように。
「ぐっ、グッモーニン麦野さん。所でおっぱい丸出しですよ?」
麦野「今更恥ずかしがる中でもないでしょう?でも親しき仲にも礼儀あり。なに寝言で他の女の名前呼んでんの?死ねやオラ!」
上条「ふっ、不幸だァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
上条当麻が、目を覚ました。
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