過去ログ - 大学教授「私がアイドルのプロデューサーだと」
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◆YsebDFyj36
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2013/04/01(月) 22:08:06.80 ID:Py/NZ84y0
私は手に取ったパンフレットをめくってみた。どうやらミュージカルの案内のようだ。西洋人の男性と日本人女性の恋物語が主題らしく、西洋人を演じるのはなかなか年季のいった男性だった。五神武彦という名前は私も知る大物俳優のものである。日本人の方は神長瑠衣という美しい顔立ちをした女性で、元アイドルという経歴が書いてある。こちらもどこかで見たような顔だった。
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◆HdrJTu3Tbs
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2013/04/01(月) 22:09:25.22 ID:Py/NZ84y0
「待たせたね」
少し離れたところから声が聞こえた。高木である。右手に大きな封筒を抱えて、急ぎ足でやってくる。
「いや、こちらこそすまないな、高木。10時という約束だったのに」
以下略
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◆HdrJTu3Tbs
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2013/04/01(月) 22:10:45.35 ID:Py/NZ84y0
「前に会ってから2ヶ月だ。私たちがこんなに短い間隔で会うことは久しぶりだね、君。だが、この2ヶ月で君は非常に大きな決断をしてくれた。
大学教授の職を辞するという決意は容易くできるものではないはずだ。君がその決断をしたことは、私を信頼してくれているからこそだと考えている。私は全力を尽くしてその信頼に応えたい、君を最高のプロデューサーにすることによって。
まあ、この話は上でじっくりしよう」
そう言って高木は歩きだしたので私もパンフレットを鞄に入れて、後ろから追いかけた。
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◆HdrJTu3Tbs
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2013/04/01(月) 22:12:32.02 ID:Py/NZ84y0
高木は慣れた足取りでエレベーターへと向かいながら
「プロデューサーといってもすぐになれるものではない。事務処理、音楽監修にダンスの監修、レッスン場の確保に指導者の獲得、企業への営業、アイドルの心身の管理、挙げればキリがないほど仕事はたくさんあるのだ。それら全てを君はマスターしなければならない。
君の役目はアイドルを育てることだ。技術的にも、人間的にもね。そのためにはこれらの仕事上のスキルは必須なのだよ。
もちろん、君にこれら全てを背負ってもらう訳ではないがね」
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◆HdrJTu3Tbs
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2013/04/01(月) 22:13:35.62 ID:Py/NZ84y0
そう言いながらエレベーターに乗り、3階のボタンを押した。
「しかし、所詮独立したてのプロダクションには人手も金もないからね。プロデューサーである君がマネージャーや事務員の仕事を兼ねることになるだろう。重労働だが、君ならやってくれると信じている」
エレベーターを降りると、高木は私を一つの部屋へ導いた。小さな会議室らしく、「楽にしていてくれ」と一言残して高木はどこかへ行ってしまった
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◆HdrJTu3Tbs
[saga]
2013/04/01(月) 22:14:54.90 ID:Py/NZ84y0
私はパイプ椅子に腰を下ろし、今更ながらアイドルのプロデューサーになどなれるのかと思った。
音楽やダンスの素養と言っても50歳だ、物覚えも悪いし、体力にも不安がある。芸能界のしきたりなどにも詳しくない。
仕事を取ってくるにしても、私には芸能界にこれといったコネもない。なにより、アイドルの心身の管理には苦労するだろう。大学で多くの女学生を相手にしているとはいえ、14、5歳の少女の扱いには慣れていない。
高木はあと2年でなんとかすると言ったが、果たしてうまくいくのだろうか。それに、私は大学教授の職をあと2年勤めることになっている。プロデューサー業一筋に精進できるわけではないのだ。
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◆HdrJTu3Tbs
[saga]
2013/04/01(月) 22:15:55.80 ID:Py/NZ84y0
果たしてこの選択は正しかったのだろうか。そう考えて、ふと葉巻が欲しくなった。
長年愛好してきた葉巻だが、プロデューサーになると決めてからは止めていた。子供の前で吸うものでもないし、ストレスのはけ口としては不健康にすぎるものだからだ。この年齢でプロデューサーだ。健康のことは今まで以上に気を配らなければならない。30年近く吸ってきたせいか、止めるとイライラしがちになってしまい、不安がこみ上げると吸いたくなる時がある。
81
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◆HdrJTu3Tbs
[saga]
2013/04/01(月) 22:18:34.55 ID:Py/NZ84y0
しかし今は不安など抱えている場合ではなかった。今は死に物狂いで努力するだけだ。高木の信頼に応えるために、そして私の彼への信頼を証明するために。
たとえ失敗しても、これから先生きられるだけの貯金はある。不安になるのはプロデューサーになってからでも遅くはない
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◆HdrJTu3Tbs
[saga]
2013/04/01(月) 22:19:17.13 ID:Py/NZ84y0
しばらくして部屋のドアが開き、高木が入ってきた。その後ろからは一人の女性がのぞき見えた。
事務員らしき服をきた20代半ばと見える女性。緑色を基調とした制服に胸のリボンとインカムの黄色がよく映えている。インカムの上の口元には特徴的なホクロがあり、この女性の母性的な優しさが垣間見えるようである。その手には3つのカップを載せた盆をもっていた。
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◆HdrJTu3Tbs
[saga]
2013/04/01(月) 22:20:11.80 ID:Py/NZ84y0
「紹介しよう、うちの事務員の音無小鳥君だ。君に話したように今でこそ事務員などという仕事をやっているが、かつてはアイドルをしていたのだよ」
音無さんは、3つのカップをそれぞれ高木、私、そして彼女自身に回し、高木の前には大量の砂糖を置いた。そして、私に微笑んで
「はじめまして。音無小鳥と申します」
以下略
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