過去ログ - 大学教授「私がアイドルのプロデューサーだと」
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112: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 06:15:52.23 ID:UT94v6DA0
あまりに遅すぎるのだ。ならば死に物狂いでやるしかない。たとえ大学の体面に泥を塗ることになろうとも、芸能界の荒波に乗っていかなければならない。そのためには私のつまらないプライドは捨てる必要がある。

「構わないさ。お前の思う通りにしてくれればいい。それで、私はどんなキャラクターになればいいのかね」

この言葉を聞くと高木は微笑んで、私がレギュラーを務めることになるという討論番組の詳細を渡した


113: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 06:16:51.80 ID:UT94v6DA0
実際のところ、高木が社長と合わせてプロデューサーもすればいいと思うが、彼には彼なりの考えがあるのだろう。それに、せっかく教育者としての欲望を満足させてくれそうなプロデューサーという仕事をさせてくれるというのだから、断る理由もない。


114: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 06:18:24.76 ID:UT94v6DA0
「うふふふふふふふ。あの漫画のまるで4巻のような展開ね。いいわぁ、少し強引な高木さんに押し込まれる先生、うふふ」

先程から不気味な声を発していた音無さんだが、彼女が口にした漫画の名前に聞き覚えがあるような気がした。あれは確か秋月さんが読んでいた漫画だったか。

「音無さん、その漫画の主人公は確か妄想癖のある少女ではありませんか」
以下略



115: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 06:20:15.85 ID:UT94v6DA0
確か少女がことあるごとに学校の先輩の妄想をするものだったか。少々性描写が過ぎるところもあるように感じたが、少女漫画というものはそういうものなのだろう。

「一巻、それならまだ全然。あの作者が腐るのは三巻からだもの。いやだ、先生が本当にそういう人なのかと思っちゃったわ」

相変わらず音無さんはブツブツ呟いているので、高木が横から口を出した。


116: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 06:24:12.10 ID:UT94v6DA0
「君が少女漫画を読むだなんて、どういう心境の変化かね」
全くだ。今まで少女漫画になど手を触れたことすらなかった。

「なに、今朝の新幹線で隣の女の子が読んでいたのでね。そういえば、プロデューサーたるもの少女漫画は読んだ方がいいのかね

以下略



117: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 06:25:11.79 ID:UT94v6DA0
「ピヨピヨーーーっ、いやいやいやいや、ダメですよ。男の人に見せるようなものじゃありませんからっ」

何故か焦ったように言う音無さんであった。


118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage ]
2013/05/11(土) 12:07:44.38 ID:k+hKekB8o
これは名作の予感!
全力で支援ピヨ!!


119: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:25:39.82 ID:UT94v6DA0
渡された書類をみると、私の出演する討論番組は日曜夜の番組で、評論家や専門家、国会議員などを招いてディベート形式で政治や経済、外交問題などについて意見を述べ合うもののようだ。私が毎週ラジオで聞いている討論番組である。また、一度出演したこともあった。


120: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:27:20.32 ID:UT94v6DA0
「この番組には一度近代外交史の専門家として出たよ。なかなか刺激のある体験だったけれど、この番組はひどく堅い討論番組だぞ。大学教授として出演するのは大いに光栄だが、芸能界にコネなどつくれまい。政財界にはつくれそうだが」



121: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:29:18.80 ID:UT94v6DA0
「ああ、こんな番組にアイドルは出ないしね。この番組は足がかりに過ぎないのだよ。この番組から各テレビ局に評論家、解説者として呼ばれるようにして行きたい。そして最終的にはバラエティというわけだ。それに、政治家や評論家のコネほど頼もしいものはないじゃあないか。そもそも君は今でも至るところにコネをもっているしねぇ。もっていないのは芸能界くらいだろう」

確かにあの大学の教授をしていると、政治家や起業家、官僚などの知り合いも多い。


122: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:30:32.75 ID:UT94v6DA0
「なるほど、この番組のレギュラー枠を取ったのは君の芸能界におけるコネということかね」

「まさか。こういう番組に私のコネなど関係ないさ。君をレギュラーにすることはテレビ局が決めたことだよ。君はこの番組やこの局の他の番組にも専門家として出演したことがあるらしいが、そのときの評価が良かったのだ。君は知識の幅が広いし、レギュラーとしては使いやすかったのだろう。私はこの前一緒に飲んだこの番組のディレクターから一足先に話を聞いただけさ。近いうちに君に正式な出演依頼が来るはずだ」


123: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:34:21.81 ID:UT94v6DA0
なるほど、大学教授である私に対する仕事らしい。高木は足がかりにせよと言ったが、果たしてこの番組でどんなことをすればいいのやら。
もう一度書類に目を通すと週に一度、金曜夜の収録のようだ。私も今一度勉強し直さなければならない。


124: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:37:27.91 ID:UT94v6DA0
「それから、音楽やダンスなどは京都でのレッスンに参加することになるようだが」

基本的には地元の歌手や俳優、アイドル、芸人の卵のレッスンに参加するようだが、50代の素人など邪魔にもなるだろうし悪い気がする。

「ああ、それについては、社長も快諾してくれてね。
以下略



125: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:38:52.08 ID:UT94v6DA0
高木はそう言って、冷め切ったコーヒーを一気に口にいれると、

「そういえば、京都の支部で君の大学の学生がアルバイトとして働いているみたいだよ。杜若薫君というらしいが知っているかい」

「いや、知らないな。少なくとも私の講座にはいなかったよ」
以下略



126: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:40:31.37 ID:UT94v6DA0
高木は私の答えを聞くと立ち上がり、

「それでは会議はここまでにしよう。わざわざ東京まで来たんだ。プロのレッスンを見学していってくれ。小鳥君は仕事に戻りなさい、夜にだるい家で一杯飲もう」

その場はこれで散会した。音無さんはやっとこちらの世界に戻って来たらしく、「ピヨッ」と一声鳴くと、冷めたコーヒーを無理矢理飲み干し、
以下略



127: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:41:46.41 ID:UT94v6DA0
その後、私は高木に連れられてプロダクションの社長に挨拶をし、激励の言葉を貰った。その後はレッスン場に移動してレッスンを見学したり、高木がプロデュースしている女優のテレビ収録などを見学させてもらった。


128: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:44:49.65 ID:UT94v6DA0
夜には高木に連れられて「だるい家」という寂れた居酒屋に入った。中では音無さんが既に出来上がっており、店員と思われる若い女性に絡んでいた。もう1時間も飲んでいるらしく、結局高木は早々に音無さんをタクシーに詰め込んで、送っていってしまった。呆気に取られて一人で寂しく飲んでいると、先ほど絡まれていた女性の店員が話しかけてきた。小川さんというらしく、普段は昼間だけのシフトなのだが、今日は仕事を終えて帰ろうとしたときに音無さんがやって来て絡まれたということで、今もなし崩し的に店員の仕事をしている


129: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:46:07.91 ID:UT94v6DA0
それから、よく来るという高木と音無さんの話をしてくれた。一人酒の肴には些か面白すぎたが、音無さんの新たな一面を見れたように思う。高木にしろ、音無さんにしろ、アイドルというのはああした破天荒なところがあるのかもしれない。そう思うとこれから先のプロデュース業に一抹の不安を抱いた。
高木は音無さんを送り届けて帰って来たが、あいにく新幹線の発車時刻も迫っていたので、酒はまたの機会に、ということになった。


130: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/05/11(土) 13:47:32.49 ID:UT94v6DA0
帰りの新幹線に乗り、ふと携帯電話を開くと、見慣れないアドレスからメールが届いていた。

「今日はありがとうございました。新幹線の中でのお話、面白かったです。無事に家まで帰ってきました。先生のような人がいる大学に行けたらいいなと思います。失礼します。
秋月律子」

以下略



131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage ]
2013/05/11(土) 15:26:12.61 ID:ZqIIpC/Do
だるい家とか久しぶりに見たわww
アケマス懐かしスww


132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/12(日) 12:10:08.56 ID:QuZLRoABO
復活してた!期待


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