95: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/07/05(金) 07:22:49.68 ID:GVnba88Ro
「あんたはまた人の都合も聞かずに……」
咲さんはまだ渋っているようだったが、結局は折れることになるだろう。
咲さんは私の出る映画をみたいと思ってくれていると思う。
もちろんそれは私が出ているからなどと自惚れているわけではない。
ぎゃあぎゃあとじゃれ合う二人を眺めながら、私はマネージャーにメールを入れた。
『舞台挨拶の後の鑑賞会私もやっぱり出ます。
招待券を三枚用意しておいてください』
そして、予想通り咲さんが折れたのとほぼ同時に鷲尾さんから返信が来た。
『無理しなくても良いんだぞ?
一応、関係者席三枚と、別の日の席を四枚取っておいた。
無理だと思ったらのぞみさんたちには謝って普通に一般人としてみればいいよ』
鷲尾さんの気遣いに頬が緩んだ。
この人は、本当に優しい。少し頼りないところもあるが、私のことを本当に大切にしてくれる。
さらに、それら全ての優しさに下心が一切感じられないからすごい。
私も大好きだけど、恋愛感情とは違う。
『ありがとう。鷲尾さん、大好きです』
『僕ならわかるからいいけど、そんなセリフ他の男にいったら脈ありと思われるぞ』
やっぱり、鷲尾さんはすごいと思う。
「うらら、咲ちゃんも参加だってぇ!
映画始まるの来週の土曜日でしょう?舞台挨拶もその日でしょ?その日なら試合ないってさ!」
「ならよかったです!」
ニコニコしたのぞみさんと、不安そうに眉をハの字にする咲さん。
携帯電話を閉じながら、私は笑った。
101Res/93.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。