94: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/07/05(金) 07:22:22.81 ID:GVnba88Ro
「……確か、恋愛ものだったよね?」
「そうです!」
咲さんの顔が曇った。
曇ったというよりも困ったように笑った。
どこか吹っ切れたような清々しさを出そうとしているのが逆に痛々しい。
「じゃあ、遠慮――」
「行く行く行くぅううう!」
泣きそうな表情になりながら、遠慮するよ、と言おうとしたところにのぞみさんが口を挟んだ。
「おわぁ、あんたは私より一個上なのにいつまでたっても落ち着きがないねぇ……」
「もちろん!のぞみさんも都合が合うなら来てください!」
そんなのぞみさんに咲さんはため息をつき、私はやっぱり安心した。
「咲ちゃんも行くでしょ?行くよね?けってぇ〜い!」
のぞみさんは教師になってものすごく察しの良い人間になったと思う。
しかも、あの頃と根元が全く変わっていない。
子供のような純粋さとまっすぐさ、それに大人の機微や正論をみにつけた彼女は、本当にかっこよくなった。
いや、昔からかっこ良いのは変わらないか……。
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