100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/28(日) 14:48:59.41 ID:x/e+9jKho
そして、再び彼女が夫にまみえたのは、切腹のその場。
もちろん、公に立ち会うことなどは出来ません。
藩の重臣の一人が憐れを催し、彼女が密かに邸内に入れるよう手引きしてくれたのでした。
顔を隠し、木陰に立っていたとしても、彼女の姿を見間違える夫ではありません。
妻をにらみつける憤怒の相は、それはそれは恐ろしいものであったと伝えられます。
さらに、仇を見る視線は、狂気に満ちていたとも。
そして、夫の首は飛びました。
しばらく後、夫の無実が明らかとなり、佐久間の家の継承が認められたその日、妻は己の喉を突いて、夫のもとへ旅立ちました。
もちろん、妻は密通などしていませんでした。
全ては、夫に本懐を遂げさせるため。
自らが憎まれ、さげすまれることで、彼女は夫の意志を奮い立たせたのです。
この話をしてくれた時、おばあさまは言ってましたっけ。
『男などというものはな、一度決めても心が萎える。私ら女はそれを支えていかねばならん。頭で考えるな。肚で思え』
まゆもそう思います。
男の人は、時に自分の気持ちさえわからなくなるものです。
だから、そんなときはまゆが思い出させてあげようって、そう思うんです。
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