161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/08(水) 17:57:06.38 ID:XIu7SGK9O
どっかの病弱な女の子みたいにゴールしちゃうんですねわかります
162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:16:28.24 ID:uAvvpyUMo
第十三夜 管狐
茄子「さて、今日もアイドル百物語の時間となりましたが……」
163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:17:16.11 ID:uAvvpyUMo
茄子「オサキについては、八犬伝で有名な曲亭馬琴さんが、『イタチに似た小さな獣』と書いているそうですね。
元々は九尾の狐の金毛が飛んで分かれたものだとか……」
ほたる「不思議なものですね……」
164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:17:50.08 ID:uAvvpyUMo
ほたる「……そんなっ!」
小梅「さ、さらに進んで、管狐なんかは、積極的に憑いている家系の人間が使役できると……考えられていた」
茄子「恵まれた相手を呪い、その幸運を盗み取って使役者に持ち帰る……と」
165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:18:21.59 ID:uAvvpyUMo
持田亜里沙(21)
uploda.cc
○一言質問
小梅「……鬼の手?」
166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:19:20.11 ID:uAvvpyUMo
小梅ちゃん、いらっしゃいませ。
ありさ先生、お話するのは大好きよ。
寝かしつけるときに、色んなお話をしてあげると、みんな喜ぶの。
167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:22:38.36 ID:uAvvpyUMo
さて、ひいおばあさんは、第二次世界大戦の前から産婆さんをしていました。
その後、戦争が激しくなってきた頃に、疎開を兼ねて故郷に戻り、そこに落ち着きました。
ありさ先生の故郷は長野県。
諏訪大社のあるあたりより少し北側が、ひいおばあさんにとってもふるさとです。
168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:24:19.76 ID:uAvvpyUMo
人の少ない寂しい葬儀で、目が溶けそうなほど泣き続ける父親の姿に、ひいおばあさんは同情しきりだったようです。
ひいおばあさんも夫を亡くし一人娘――私のおばあさん――を女手一つで育ててきたこともあって、なおさらだったかもしれません。
とはいえ、ひいおばあさんに出来たのは葬儀やその後の細々としたことを手伝うことぐらいでしたけれど。
169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:25:15.23 ID:uAvvpyUMo
さて、娘の葬儀から四ヶ月ほどが経ったある日。
別の村でそろそろ子供が生まれそうな妊婦さんの面倒を見ていたひいおばあさんのところに、件の父親が現れました。
どうした、と尋ねるひいおばあさんに、父親は言いました。
170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:26:23.65 ID:uAvvpyUMo
例の父親は、人を殺すような為人ではありませんでした。
それに、名主の息子とのつながりもわかりません。
亡くなった娘であるならば、名主の子供とはそう年が離れていませんでしたから、遊んだりはしていたでしょうが……。
171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:27:08.94 ID:uAvvpyUMo
『例の男は、クダ筋なんだ』
そう、村長さんは言いました。
管狐という妖怪のようなものが取り憑いた家系をそう呼ぶことは、ひいおばあさんも知っていました。
172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:28:48.15 ID:uAvvpyUMo
あまりに普通に受け止めていたこと故に、そのことに疑問すら覚えない。
そういうもののようです。
ある意味、村全体が、女の子を死に追いやったと言えるでしょう。
173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:29:58.16 ID:uAvvpyUMo
『クダ筋の裔として、出来る限りの呪いをかけるため、自らを生贄としたんだろう』
そんな莫迦なことがあるわけがないと言うひいおばあさんに、村長は言いました。
『遺体は山に入ってたった一日で、体中にトンネルのような穴が空くほど獣に食い荒らされていたそうだ。
174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:32:12.50 ID:uAvvpyUMo
村はそれから十年ほどで消えてしまいました。
住人たちが次々と転居していったからです。
175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:33:02.81 ID:uAvvpyUMo
『ある日、門柱やら玄関に、オコジョの尻尾のようなものが打ち付けられる。
まるで生きた獣から引き抜いたかのように血がべっとりとついた尻尾が、小刀で深々と打ち付けられてるんだ。
そうして……しばらくすると、その家の人間は、皆死んでしまうんだよ』
事故死や病死……。
176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:34:01.68 ID:uAvvpyUMo
ひいおばあさんは、その父親のことを、こう言っていたそうです。
『あの人は、きっと悔しくはなかっただろう。
悔しいというのは、ああ出来たのではないか、こうなったのではないかと思う気持ちから出てくるものだ。
177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:34:38.52 ID:uAvvpyUMo
茄子「……なんと、言っていいものやら……」
ほたる「……うぐっ、ひくっ……」
小梅「な、泣かないで……」
178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:35:46.55 ID:uAvvpyUMo
茄子「……ふぅ。あまりのお話にいろいろと衝撃を受けてしまいましたね。ほたるちゃん、大丈夫?」
ほたる「あ、はい。すいません。お聞き苦しい声を……」
茄子「いえいえ。とはいえ、ずっと引きずってもしかたありません。切り替えていきましょう! そう、ここで重大発表です!」
179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:36:22.24 ID:uAvvpyUMo
そんなわけで、今回で、第一シーズン終了です。
最後は陰惨な話になってしまいましたね。
この板的にはゆっくり百話やってもいいのでしょうが、個人的に区切りがないとつらいので、八シーズンで百話目指して、順次やっていく形にします。
またある程度ネタがたまったら、第二シーズンのスレを立てる予定でいます。
180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/10(金) 20:38:16.38 ID:ZtcE22/A0
乙です
とても悲しい話でした
181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/10(金) 22:11:40.53 ID:1t6iRkwAO
乙でした
せつないぜ
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