22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/15(月) 22:02:26.62 ID:EmZy/eQ7o
それに気づいた途端、ぞっとして、私は慌てて左隣の先輩の部屋の戸を叩いてました。
自分の部屋に入ろうとは全く思いもせずに。
先輩はもう寝ていたようでしたが、私がどんどんと扉を叩くのに起きてきて、そして私の顔色を見て、なにか察した様子でした。
『ねえ、聞くけど、患者さんが亡くなったとかじゃないよね?』
私が違うと言うと、先輩はため息をつきました。
『あの部屋?』
次にそう尋ねられて、私はこくこくとうなずくしかありませんでした。
『そっか。残念だけど、あんた、もうここにはいられないよ』
先輩はそれだけ言って、熱いコーヒーを出してくれました。
どういうことかさっぱりわからなかったですけど、そのまま先輩の部屋に泊まり、次の日には事務長に呼び出されて、辞めてくれと言われました。
次の病院は責任をもって紹介するし、そちらのほうが条件はずっといいはずだ、と。
私もすぐに従いました。
寮の部屋には二度と戻りませんでした。
荷物は、病院のほうが後で送ってくれましたよ。
あの目がなんなのか、あの部屋がなんだったのか、私にはわかりません。
でも、しばらく後に会った時に先輩に聞いたところによると、見る人と見ない人がいて、見ちゃったら、辞めないといけないんだそうです。
そういうことになっているんだと。
そうですね、一つだけ不思議なのは。
倉庫として使われているはずの部屋に入り込んだ誰かが私を見ていた、とは思いもしなかったことでしょうか。
周りもそう思わなかったってことは……。
やっぱり、生きている人では、なかったんでしょうねぇ。
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