929:寝落ちてたぁ……今回でラスト!
2014/06/11(水) 23:43:01.30 ID:IlBAU4zS0
僕の手に軽く掌を乗せ、姉さんは屈んだ。そして涙いっぱいの僕の目を見詰めて、呟く。
神裂「『トラウマ』を、ぶり返しましたよ」ジー・・・
香焼「ぇ」ピクッ・・・
神裂「『辛い事』です……貴方が襲われて、それを助けられなかったのはね」ニコッ・・・
香焼「姉、さん」グスッ・・・
神裂「『香』のその姿は……まるで『救えなかったあの子』を模してるみたいで、見ているのが辛かった」フフッ・・・
香焼「『あの子』って、っ」グッ・・・
■■■■。
神裂「実際の姿や性格は全然違いますよ。でも、ね……五和や浦上とは違う『妹』という意味で、『あの子』の様な存在に思えてしまう」ハハハ・・・
香焼「……、」グシグシ・・・
神裂「最早貴方なのか『香』なのか、混同さえしている。そんな事は如何でも良いですね……そういう問題じゃないか」ジー・・・
香焼「それは、その」グスッ・・・
神裂「ただもう、か弱い『妹』なんて要らないんです。辛い思いはしたくなかったから」スッ・・・
助けられなかった、あの時。
神裂「そして、今回も間に合わなかった……まったく物笑いの種ですね」フフッ・・・
香焼「それは、違う」グスッ・・・
神裂「ううん。だから、自分を責めるのは『今のあの子』にも失礼だし、貴方にも失礼だと思った―――」ジー・・・
『でも』と姉さんは俯き、震える声で告げた。
神裂「―――……結局全部、私の我儘なんです。五和の言うとおり私は冷静じゃなかった」フルフル・・・
香焼「そんな! それでも姉さんは助けに来てくれたじゃないっすか」スッ・・・
神裂「……、」ギリリ・・・
香焼「自分はあの時充分、救われましたよ」ニコッ・・・
神裂「間に合わなかったんですよ! 私は、また!」ギッ・・・
香焼「っ」ビクッ・・・
神裂「これが事実で、これが全てなんです! 私は……っ……貴方を、守れなかった」グッ・・・
一転、鎧が剥がれたかの様に、弱々しくなる姉さん。こんな顔、させたくないのに。
神裂「香焼……間に合わなくて、ごめ―――」
香焼「姉さん」ジー・・・
神裂「―――ん……、」ピタッ・・・
香焼「ありがとう……本当に、助かりました」ペコッ・・・
神裂「……なっ」ピクッ・・・
香焼「姉さんが、貴女が来てくれただけで、僕は救われた。姉さんが来てくれたから、操祈さんは人殺しをせずに済んだ」ニコッ・・・
神裂「それは……でも!」ブンッ・・・
香焼「『香』はきっと、姉さんの『妹』で居れて良かったと思います」フフッ・・・
同じく、僕も、この人の『弟』であれて良かった。
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