過去ログ - 岡部「愚行移山の」　ほむら「オブサーバーズ」
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773: ◆ziIVTRHhh5Cl[saga]
2013/07/21(日) 22:40:47.69 ID:zcpoOaUmo

岡部「え……?」

　俺は耳を疑った。
　杏子はもう一度、辛抱強く語りかける。

杏子「アタシを、殺せ!!」

岡部「なんでだよ……」

杏子「アタシだって、最後のプライドぐらいあるんだよ……」

　杏子は泣きそうな声で囁く。

杏子「このまま、魔女になるぐらいなら。オッサンに、最後を……」

岡部「違う!!!」

　俺は半ば悲鳴のような声を上げ、杏子の言葉を遮る。

岡部「何で、諦めるんだよ……」

　何で、そう直ぐ死を選ぶ?

岡部「痛いんだぞ?　苦しいんだぞ?」
　
　なんで、おまえは……

杏子「思えやさ、アタシの人生は、馬鹿みたいだったよ」

　今度は、杏子が俺の言葉を遮る。

杏子「誰かを傷つけて……そんなんばっかだったよ」

　だからさ、と杏子は言葉をつなぐ。

杏子「最後ぐらい、潔く死にたいんだ……」

　杏子の目に、光る物が浮かぶ。
　「少女」佐倉杏子は、最後の望みを俺に託してきた。

杏子「だから、オッサン……」

　杏子は弱々しい声で懇願する。

　……結局、最初から、俺がすべきことなど分かっていたのだ。
　
　俺は、重い口を、必死に開いた。

岡部「分かった」

杏子「ありが、とう……」

　――――　感謝なんて、しないでくれ。


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