過去ログ - 錆白兵「ここはどこでござるか……」神裂火織「必要悪の教会女子寮ですが……」
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32: ◆4ipphlbOc2[sagesagga]
2013/05/08(水) 18:32:15.54 ID:ILzqQSnE0
「あれは私がする中でも、もっとも脅威的、且つ驚異的だった」

「……………」

「いやぁ、あの刀はすさまじかったな、七花よ」

「ああ、ただの薄いだけの刀だと思っていたら、まさかあんな特性があったなんてな」

「まったくだ。いやぁ、よくあんな刀を持った錆に勝てたものだ」


絹旗の表情は曇っていた。


「超すいませんが、お二方の想像の中で語られても困ります。こっちはその錆白兵さんどころか薄刀も見た事ないんですから、話が全く見えませんよ」

「ああ、そうか。すまんな絹旗。では、順を追って説明しよう――――――だが……」


とがめはそう言いながら時計を見て、立ち上がった。


「休憩時間はここまでにしよう。もう腹は膨れてはおらんだろう? いつかは戦うかもしれんが、今戦うとは限らん錆と薄刀の話をしてもしようがない。続きは夕飯時にしよう」

「えぇぇぇぇ……。まぁ、いいですけど」

「ほれ、七花行くぞ」

「おう」


絹旗と七花は立ち上がり、玄関へと歩いてゆくとがめについてゆく。

この時、絹旗は歩きながら、ふと思った。


(――――――でも、そこまで超良い人が、どうして一本の刀だけに、己の主も忠義も正義も、今までの成功も功績も、何もかもを捨ててしまうなんて、ありえるのでしょうか)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『この刀は、俺の知り合いの借金取りから貰ったもんだ。ソイツ、金の担保に骨董品を預かってるタチのもんなんだが、返せなくなっちまったヤツの担保を俺のトコロで換金してんだ。

この刀もそうだ。どこぞのバカが株でミスっちまってな。ほら、リーマンショックってヤツ? あれで借金の山築いちまってたらしい』


武器屋の店主は経緯を説明をし、。


『前の客にこの刀を紹介してな。西洋の剣なら何でも知ってるが、東洋の剣はてんでだ。だから、その道に興味がありそうな騎士団のヤツに「これ買わねえか?」って言ったんだが…』


――――日本刀は確かに切れ味は最高の剣だが……私ではその剣は扱えない……。


と、言って帰ってしまったらしい。

今、この場にいるのは三人。神裂とオルソラ。そしてトラブルの元となった錆白兵。

彼らは今、武器屋の奥にある、武具の製作や修理を行う、作業場にいる。大小様々なトンカチやらペンチなどが無数に、かつ整理整頓がキッチリとされている状態で並べられ、それらと

同じくらいの量で、剣や槍や甲冑が雑に箱に捨てられていた。それらは『失敗作』なのだろう。所々曲がったり折れたりしている。

あの店主はここで製作した作品を店頭に出すか、注文を受けた物なら包装して客に渡すのだろう。因みに失敗作はばらした後、溶かして再利用するらしい。

さて、この場の主と言えば、


『ウチ、ビンボーだからよ。生活費とか子供の教育費とかで稼がなくちゃならねえ。あんまりにも稼ぎが少ねえと、嫁さんにぶっ飛ばされる。そんでな、その刀、相当な値打ちだから、

“そこの兄ちゃんにも伝えたけど、俺はその刀を知り合いの古物商に『芸術品』として高ーく売り捌くつもり”だから、そこの兄ちゃんの説得頼むわ。手段は問わねえ』

『ちょ、待ってください! 私たちをほっぽって何処へ行く気ですか!?』

『そのために呼んだんだよ。俺は口が下手でよ。それに、言っただろ? 『そこの刀を見てほしい』って。あながち間違っちゃあいねえだろ。そこの刀ついでに、白髪の兄ちゃんの面倒も

見てくれってだけで。んじゃ、俺の出番はもういらないから勝手によろしく。あ、出る時は裏口を使っていいから』

『ちょっと待って下さ……―――もういない……』


とまぁ、さっさと自分の仕事に行ってしまった。


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