過去ログ - 錆白兵「ここはどこでござるか……」神裂火織「必要悪の教会女子寮ですが……」
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◆4ipphlbOc2
[sage saga]
2014/06/07(土) 01:26:50.18 ID:B/7z9PeX0
だがダメージはあった。100kgもあるグラディウスは炎に包まれた炎剣だ。避け切っても、近寄っただけで放射熱だけで火傷を負う。錆の腕と脚が赤く変色していたのが証拠だ。そして彼はただ振り続いていただけではない。剣と鎧から放たれた炎は周りに引火する性質があり、足や剣先から芝生や木に燃え広がって周囲を火の海にした。
その炎が壁となって、狼が群れを成して錆を追い詰め、回避スペースを徐々に狭めていった。そしてマールスが腕の感覚がなくなるまで振り続けた結果、錆の周りは完全に炎に囲まれたのは、作戦通りだっただろう。
草原の中にそびえ立つ炎の中には一人の騎士と一人の剣士しかいない。周囲は赤壁に囲まれ、動けると言えば、二人の間のたった数歩の間合いのみ。
速度に勝る錆と剛力に勝るマールス、狭い空間での戦いでは機動性を生かせない錆がどうせいても不利になる。最初から当てようとせず、この地の利のある条件にするために、彼は剣を振るったのだ。
「追い詰めた……」
息絶え絶えで剣を持ち上げるマールス。
「見事。その闘気、見事也。幾百幾千もの剣客と剣を競ってきた拙者でも、ここまでの男は少数でござる」
「あた、ぼうよ。俺は………何も考えずに……人をぶっ殺すしか、能が……できてねぇ……からなあ………脳ミソが、それしか機能しねぇ……んだ」
「何故そこまで致す、基督教の教えの為か」
「ボスがこれしか……道がねえからってんだろ。俺は犬だからよ、ボスが言う事は従うのみだ」
マールスは鼻血をだし、血の涙を流しながら答える。錆はこの答えの意味は解らなかった。だが炎剣の騎士はこれ以上答えず、獲物を見据える。すでに全身の血管という血管から血が溢れ出しそうだ。破れて爆発しそうな熱さで気が狂う。その前に、ただ一つの感情の下、剣の騎士は剣を構えた。
「つーわけだ、斬り合おうぜ」
既に目は血で真っ赤で、ロクに錆の姿は見えてないだろう。だが獣の嗅覚と言う奴か、感覚だけで間合いを掴んでいた。間合いは数歩、なに情報収集しなくてもここで仕留められる。そうすれば死なずに目標が達成できよう。
「……成程、その闘志は忠義に生きる騎士故だったか。そこまで覚悟を持ってこられると応えなければ礼に欠ける。故に、全力でお相手致す」
「おう、かかってきやがれ」
マールスはグラディウスを下方に構える。対して錆は右手に持った薄刀を右横下に真っ直ぐ伸ばす。炎の灯りがさらに美しさを際立たせ、薄い刀身が赤に照らされていた。
「――――――――拙者にときめいてもらうでござる」
そしてその時、錆はマールスの視界から……気配が消えた。一瞬の出来事であった。さっきもそうだっだ。バイクが登場した時、ライトで一瞬目がくらんだと同時に錆は密集地帯をすり抜けた。恐らくこの消える技は目が別のモノに向いた瞬間に移動する技術。要は目の錯覚を利用している。なら、眼を捨ててしまえばいい。そうすれば気配だけでも見切れる―――と、踏んでいたのだが、気配そのものが消えてしまっていた。
「く、………畜生!」
360°炎の海の中で、どこにも隠れる事はできないというのに、錆はどこかへと姿をくらました。だがここはぐるりと炎が囲む。どこに逃げ場があるのだろうか。
右か? 左か? いや、自分から火に飛び込むヤツは馬鹿だ。魔術で出来た火の壁はすり抜けられず、触った瞬間に全身に燃え広がり、火達磨になって灰になる。では本当に錆白兵は消えたのか?
「……いや、違う」
ある周囲といっても、それは横の話だ。縦の話ではない。縦にあるのは地面、
「いや、下じゃねぇ……」
“何もない空中”………――――それで錆はいるのは、
「上だッ!」
「よくぞ見破った」
やはり錆はいた。あの右手の薄い刀で斬りかかろうとしていた。急いで下方に構えたグラディウスを一旦真横に二回振る。いきなりトップギアで振った剣は倍加速に右脇へ、また倍加速して左肩口へ。そしてさらに倍加速させて落ちてくる錆へ斬り上げた。自分の限界の八倍の速度だ。如何に錆が速く動けるとて、そこは空中、しかもこの剣の速度では躱せまい!
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