過去ログ - モバP「代書屋さっちゃん」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/04/21(日) 17:07:48.49 ID:D9Si30bO0
『拝啓、P様』

手書きの手紙を貰ったのは何年ぶりになるだろう
形の整った美しい字であることに間違いはない
しかし、その中にも若干の癖や、強弱が感じられる

手紙の代書は幸子がしているが、まるで息遣いまで伝わってくるようだった
本来、文字と言うものはその人自身を表すものだ
その人がどんな人で、何を考え、どんな風に生きてきたのか
紙の上に並ぶ文字はそれらを教えてくれる


番組のときから、手紙には一つだけルールがある
それは差出人の名前を書かない、と言うものだ

番組がきっかけでいくつかの出会いがあったが、それらは手紙がきっかけになっただけで本人たちがあと一歩と言うところで踏みとどまっていただけのものだった


例に漏れずに、この手紙には差出人が書かれていない
ぱっと見ただけでは誰からの手紙かも当然わからない

内容から推測するしか手紙の差出人に辿り着く術はない

幸子のすごいところはこのあたりにある
手紙の内容によって巧みに筆跡を使い分ける
手紙の読み手は幸子が書いたことを知っていても、彼女が瞼の裏に浮かぶ事はない
彼女が感じたままに、彼女の感性から一文字一文字が紡がれる
普段の言動や態度からは想像できないほどに、彼女は純朴でまっすぐな内面をしているのだろう

だからこそ、依頼人は素直な気持ちを幸子に託すことができるのだ


プロデューサーはもう一度深く煙を吸い込み、手紙を読み進めた



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