92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2013/08/25(日) 23:06:34.00 ID:zNbVnNgB0
「いまだ、支えろ」
合図とともにモンドが刀を抜き放ち、広げた傷口へ入れる。
裂かれた肉が集まり傷を修復しようと働くがその勢いを抑え、筋が切れていく。
間髪をいれずルイテルは左腕を突っ込んだ。
「グゥッ!」
「あと少しだ……耐えろ……」
ルイテルがさらに傷の奥へと左腕をねじ込む。
数秒後、血まみれになった彼の腕が抜き出され傷口から勢いよく血が噴出した。
「早くふさげ、心臓に近いからな。動脈を傷つけたかもしれん」
「は、はいっ」
アリアンノが傷口の治療にあたる。自然回復力を魔力によって増強された傷口は
血を噴き出しながらふさがってゆく。肉に押し出されるようにして中にたまっていた血の塊が
最後に出ると、鱗までもが完全に修復される。
「まだ痛みはあるだろうがもう大丈夫だろう。時間を食ったな、行くぞ」
「ったぁく全員血まみれじゃねぇか、こりゃ着いたら風呂だな」
「到着してからだがな」
「あぁ、行くぞ馬に乗れ」
「待て」
治療を終え血まみれになった体を馬上に移した直後に声がかかる
声の主は竜だ。
「貴様ら急いでおるのだろう、余計な手間を掛けた返礼と言ってはなんだが送ってやろう」
「ずいぶんな気まぐれもあるものだな」
「それは貴様らとて同じだろう」
「こっちは気まぐれでも何でもないとは思うがね?」
と、ルイテルはアリアンノを指さした。
「たとえ敵対していた相手といっても、傷つき、戦闘力のない相手を放ってはおけません」
「ふん、言いよるわ。治療することによって戦闘力も回復することを忘れておるなワシのように気のいい者ばかりではあるまい」
「んで、くっちゃべってねぇでどうすんだ?」
「そうだな、急がねばならんのも事実だ野竜が自ら載せるというのも珍しい話ではあるからな」
「あれ?野生なのか?さっきまでバリバリ背中に人を載せてたぜ?」
「主たるものがおらんようになったでな、竜騎兵の契約ならばその程度のモノよ」
「よくわからんが……まぁ行くとするか」
三人は馬を降り、竜へと騎乗する。鞍はまだついたままになってはいるが、主を持つ証である契約の印も消えている。
「はぁ〜しっかし、騎乗者を殺しただけで竜が野生にもどるなんてぇなぁ」
「竜騎兵だからだ、騎士の契約とはまた違うからな。それに、竜騎兵の乗る竜というのは竜騎士の契約に巻き込まれて堕ちた者も多い」
「へぇ?つまり堕ちたらどうなるんだ?」
「元は竜騎士の竜より強い竜が契約の魔力によって最下層まで落とされることもあるってことだ。なに、こいつがどうかはわからんがな」
「当事者の上でよくよくしゃべりよる」
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