91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2013/08/25(日) 23:06:07.89 ID:zNbVnNgB0
「ふんっ、竜に痛みを耐えよとは大層な人間よの……ほぅ?」
再び竜が目を見開く、先ほどアリアンノにとっていた態度とは少し違うのがルイテルには見て取れた。
「あまり余計なことは言わないほうがいいぞ、貴様の心臓は俺が握っているようなものだ」
「ふんっ、珍しいこともあるものだな。まさか……」
「同じことは二度言わん」
そういいながら、ルイテルは傷口に鉈を入れる。
表現としては剣鉈のほうが適切だろうか、切っ先が鋭く竜の傷口に吸い込まれてゆく。
竜は閉じた目を再び見開いて、表情を変える。
「だから痛むといっただろう、暴れるなよ。傷口が広がるからな。」
そして、小刀を無造作に傷口に突っ込んだかと思うとカランと音を立てて弾が摘出された。
「こんな大きなものが……」
「ぼやぼやするな、この傷口は問題ない。塞いでもかまわん」
血まみれになった左腕と鉈の血を払いながらルイテルは告げる。
「次に行くぞ、おい」
「あぁ?てっきり出番はねぇかと思ったんだが……」
「手伝えと言ったからには働いてもらうさ、この傷だがな」
「あぁ?さっきと一緒でやりゃいいじゃねぇか」
「そうもいかん、心臓に近いからな。傷を少し切るから支えてくれ。少し切った程度ではすぐに肉の圧力で戻るからな」
「さっきより痛むぞ、暴れるなよ。心臓に刺さるぞ」
「万物の長たるワシにたいした物言いだ」
「その割にはさっき痛がってましたよねぇ……」
「ふんっ」
鉈が傷口に吸い込まれる。鱗が数枚とび、地面に散らばる。
竜の肉から血が噴出し、ルイテルの体を赤く染めてゆく。
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