過去ログ - モバP「夏の上に夏を重ねて」
1- 20
49: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/27(土) 11:37:30.08 ID:jHXJVv+b0

「なら…また、今度」

『はい、すみません。誘っていただいて嬉しいです』

『うん、ぼくも楽しみにしているから』

「はい!」

ひとときだけ、ぼくの不安の種は身を潜めた。
…けれど、これは本当にひとときだけだった。

その5日後、ぼくは仕事の呑み会に誘われた。
事務所のみなも、おごりだとわかると声を上げて喜んだ。
彼女らとは私的に出かける機会もないし、こういうときくらいはいい。

ぼくは相席の方と、趣味について語り合った。
ぼくにはあまり趣味がなかったので、困ってしまった。
相席の方は、ぼくのスーツを褒めてくれた。センスがいいと言われた。

みなさん、賑やかでうらやましい。そう言ってくれた。

もちろん。ぼくはみなを尊敬しているし、自慢できるほどだ。
とはいえ、片方ぼくは、いまいち何もないのだが。
ぼくは彼と語り合いをし、酒を楽しんだ。

にぎやかさにもみ消されそうになった声を、ぼくは、聞いてしまった。
…彼氏はいない、と明言する、彼女の姿を。その顔を。

ぼくの不安の種は、華を咲かせた。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
64Res/47.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice