過去ログ - ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…
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23:キャタピラさん ◆EhtsT9zeko
2013/04/28(日) 12:15:46.57 ID:mfe01pas0
「おい、ここに、レナ・リケ・ヘスラーって捕虜が捕まってるはずだ」

不意に、どこかでそう声がした。

「はっ!確かに、ここですが」

「会わせろ」

「は、いえ、しかし…」

「いいから、会わせろって言ってんだ」

「で、できません」

「あぁ?あんた、私の階級章が見えないわけじゃないよな、伍長?」

「ですが、少尉殿…ここは…」

「上官命令だ。すぐに会わせろ。責任は私がとる」

「う…」

「別に何するわけでもない。ちょっと知り合いかもしれなくてね。

 知り合いだったら、最後の晩餐くらい振る舞ってやったって、バチはあたらないだろう?

 ほら、お前にも、これ、小瓶で悪いが酒だ。

 さすがにあんたの上官に見つかるとやばいから、アタシが出てくるまでに飲んでおけよ。おら、さっさと鍵寄越して」

ガチャリ…ギイッ…カツカツカツカツ

足音が、私の独房の前で止まった。

ベッドに座っていた私が目を向けると、そこには、連邦の制服に身を包んだアヤの姿があった。

「大丈夫か?」

アヤは、心配そうに私を見た。

「うん」

私は返事をする。

「ほら、こっち来いよ。飯にしよう」

そう言ったアヤの手には、ファーストフードの紙袋があった。

「冷めちゃってるけど…ま、あの魚よりは旨い」

彼女はそう言って廊下に腰を下ろす。私も、鉄格子の前に座り込んだ。

廊下にある明かりが私の顔を照らし出したのだろう。私の顔を見るなり、アヤの表情が変わった。

最初は、悲しげに、そしてついで、怒気を秘めた険しいものに。

「ひどくやられたんだな」

「これくらいは、平気」

そうは言ってみるものの、顔も体も痛くって仕方ない。

 あれから自分で鏡は見られていないけど、たぶん、形がゆがむほどに腫れ上がっているのだろう。

アヤが紙袋からハンバーガーとフライドポテト、紙のコップに入ったジュースを取り出して、鉄格子の間から私にくれた。

それから、自分の分を取り出して、何も言わすにかぶりついた。私も、包み紙を開いて口をつける。

…おいしい。

 口の中も血だらけで、そもそも満足に口も開かない始末だから、ちょびちょび食べることしかできないけど、

小さくちぎったハンバーガーを舌の上で転がすだけで、凍りつかせた心が解けていくような感じがする。

なんだか、一気にいろんなものが湧き上がってきて、ぽろぽろと涙がこぼれだした。

 アヤは、そんな私を見て、一瞬動きを止めたが、すぐにまた、一心不乱に自分のハンバーガーに食らいつく。



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